(続き)

 

俺 「遺伝子は設計図だから、たまーーーーにあるだよ。書き損じとかコピーミスなど問題あるやつが」

タケ「壊れた遺伝子?」

「まあそんなトコだ。中には生存を脅かすような先天性疾患・・・障害を発症するリスクを抱えた時限爆弾みたいな遺伝子もある」

「親がそれを持っていたら子供に遺伝しちゃうってことね」

「うん。でもそれが子々孫々に渡ってずっと残存していく可能性は低いように出来ている」

「え、なんで」

「詳しくは省略するが、さっきの優性遺伝と劣性遺伝に関連する。問題遺伝子が優性の方にあった場合は1/2の確率で発現しちゃうけど、死んだり子孫残せなかったりでその一世代で途絶える。

一方劣性の方にあった場合も、発現するのは優性遺伝子の方だから死なないし、子孫残せる。

結果として、世代を経るごとに問題ある遺伝子は主に発現しにくい劣性の方に集中して残っていくことになる

「劣性でもさっきの金髪みたいにいつか揃っちゃったら死んじゃうんでしょ」

「まず起きない。最初に言ったように、遺伝子の設計図は髪の毛や目やチンコなど体のあらゆるところに分布している。たまたま同じ場所の、たまたま同じ問題を抱えた劣性遺伝子がピッタリ揃う確率は果てしなく低い」

「ああー(よく解ってない顔)

「ただ例外も存在する。たまたま同じ場所のたまたま同じ問題を抱えた劣性遺伝子を持つ可能性が高い相手との交配――」

「?」

家族や兄弟だよ。お前は母ちゃんや姉ちゃんとは結婚できないだろ?これは法で決まってるというより、やっちゃいけないんだよ遺伝子学的に。さっき言った問題を抱えた劣性遺伝子が揃っちゃう確率が、他人同士の結婚ならほぼゼロなのに、近親婚の場合だけ1/4にまでグンと跳ね上がっちゃうんだ。近親婚を繰り返した結果、先天性異常が出まくって最終的に滅亡しちゃった一族もある。スペインのハプスブルグ家とかが有名かな」

「全員死んじゃったの」

「最終的には顎が異様に突き出た人ばっかだったそうだぞ」

こえ~~~

「結婚して子供を作る相手は他人じゃなきゃいけないのはそういう理由があるんだ。そうすればまず問題は起きないし、どちらかが問題アリの劣性遺伝子を隠し持っていたとしても、もう一方の優性遺伝子で抑えることが出来る。人類はそうやって上手くやってきた。お前もナナがこの先美しく育っても姉ちゃんと子供は作るなよ?

作るかっっ!!

「しかし近親婚は危険であると同時に非常に低い確率ではあるが稀代の天才を生み出す可能性もまた秘めているんだ。さっきは”問題がある遺伝子”と言ったが、書き損じの結果逆に「普通より優れちゃった」パターンというのも当然起こり得るわけで、劣性とは言っても文字通り”劣ってる”というわけじゃなくてただ”発現しにくい”ってだけだから、もしその優れた劣性遺伝子が揃ったならば―――」

「あああああああもういい!父ちゃん話長い!のぼせるからもう出る!!」

 

 

 

 

―――ちぇっ。

(親父はハゲてなくても爺ちゃんはがっつり剥げてるのを思い出して軽く絶望しながら)