6月末に入社し、あっという間に2ヶ月が経とうとしている現在の感想をば。

 

端的に言ってしまえば、とても充実している。

一応「広報」という生まれて初めての役職。メディア対応、プレゼン資料作り、イベント準備、撮影取材など触れるもの全てが新しくて刺激に満ちている。それでいて今まで自分が積み上げてきた技術や知識が唐突に活かされる局面も多く、気が付けば若い鈑金スタッフに見積もりソフトのレクチャーをしたり、新作リアウィングのパテ成型をしている自分がいたりする。昔お遊びでやってたフォトショによるコラージュや、青年会議所時代に覚えた動画編集のノウハウが、こんな歳取ってから役に立つとは思ってなかった。もはや広報というより便利屋的「雑務係」だが、どの場においてもアイデアは無限に出て来る(採用されるかはともかく)。

既に雑誌の取材を4件、イベントへ出張参加2回をこなし、いくつかのプロジェクトに名を連ねているのでどこから手を付けていいか判らないほど忙しい。当面の目標は3Dスキャナの使い方をマスターしてPCに取り込み、修正し、3Dプリンタへの出力が出来るようになることだ(想像よりずっと難易度高い)。

今はまだ加減の仕方も分からず出力全開で突っ走っているためいつか息切れ起こすんじゃないかと自分でも心配しているが、基本誰にも干渉されず、自分のペースで今日やることを決められるので気はラク。俺、多分半日くらいどこかでサボってても誰にも気づかれないし文句も言われないと思う。

なんといっても、朝「仕事行くの嫌だなぁ」と思ったことがまだ一度も無いのだ。これは自分の中でかなり大きい。

社長を含め、数多い他の同僚たちは軒並み20~30代と若く、俺文句なしの正社員中最年長。入社2ヶ月でその全てと打ち解けているわけではさすがにないが(そもそも名前が全然覚えられない)、所属部門の面々との人間関係はおおむね良好。何より社長と話が合い過ぎて楽しい。気付くと二人とも仕事そっちのけで小一時間ほど雑談してしまっているくらいだ。

そういえば、アリス号を見たとある従業員の人が百鬼夜号を古くから知る某ネ友さんと知り合いで、再就職公表前から既に情報がリークされていたことも判った。ネットこえ~!

 

通勤時間は長くなった。今まで車で5分だったのが、隣の市になったので平均40分くらいはかかるようになった。もっとも、始業時間は遅いのでむしろ家を出る時間は前職よりも遅くなったほどで、朝はのんびりできる。雨の日はナナタケを学校近くまで送ってやれる余裕も出来た。始まるのが遅い分定時は19時になった。帰宅は21時近くになることが多い。

…そして、ガソリン代は確かにかさむ。みるみる減っていく。ギブミーこうつうひ。

自分的に一番大きかった影響といえば「休み」だろうか。なんと月曜定休で、年末年始と盆以外の祭日は関係ナシ。一応有給はあるが、一か月に1.5日(ふた月に3日)と誕生日休暇くらいだから、前職(日曜祭日・第三土曜定休)に比べたらあまり変わらないか若干減った感すらある。何より、月曜に祭日が重なるか有休を使わない限り、もう家族とは休日が合わないのだ。これは地味に痛い。

救いはナナタケももう中高生で、「家族でお出掛けとか特に拘らない」インドア派であることか。

 

 

 

実はこの会社との、なんだか不思議な縁を感じる出来事もあった。

 

取材先の編集長の提案で、会社が創業から20年の間に買取・納車してきた全車両の写真をまとめてスライドショーにするという話が出た。軽い気持ちで引き受けたが、いざ外付けHDDに収められたそれらの写真の総数を調べてみたらあまりの膨大さにしばしカナ縛る。その数3万台超。写真は全部で120万枚超え。

空いた時間にせこせこと写真の選別作業を進めた。まず車の写真が収められているフォルダだけを車種別に分類して一ケ所に集めることにする。その過程で、中身がちゃんと車の写真かどうか確認のためにいくつかのフォルダをランダムで展開していた。「その車」のフォルダを開けたのは全くの偶然だった。

70枚くらいある写真のサムネイルの中に数点、見覚えのある画像が目に留まったのだ。
それは―――とあるレジェンドという名のセダンの、クオーターピラー部分に描かれたエアブラシイラストだった。そしてこれこそ、15~20年位前に俺が自分の手で描いたものだったのだ。うわ懐かし~…そうか、この車、この会社に売られてたんだ…。

たまたま近くにいた専務に声をかける。

「専務、見てくださいよ。コレ、俺が昔描いたやつですよ」

「あ!この車、俺も覚えある!

「マジすか」

「まだ兄貴(社長)と二人で、実家のガレージを拠点にこの仕事始めたばかりの頃だよ。この車が入庫してさ、俺それまでレジェンドにあまり興味無かったんだけど、これをネットに上げたら思いの外反響があったんだよ。(あれ?実は今レジェンド熱いのかな?)って、それからしばらくレジェンドブームが続いたんだ。思えばあれが転機だったかもしれない

「おぉお…」

「15年以上前だよね、確か」

「そうですね。そんな頃から、俺ってばこの会社との繋がりが出来てたのか…」

「なんか運命感じるね

ちょっと感動してしまった。

 

 

 

 

とにかく先のことは判らないが、とりあえず一年はココで頑張ってみようと思う。

無理はしないよう出来るだけ早く仕事に慣れて、

出来ればこのまま定年まで突っ走りたい。

 

 

 

 

(再就職への道:終)