悲壮美という言葉があるように。

かつての繁栄の名残を残したものが時間と共に朽ちていく様は、煌びやかに飾り立てられたものとはまた別の美しさがある。そこにはどんなドラマがあったのだろうとか、どんな人たちが関わっていたのかなど、想像力を掻き立てられるからこそ人を惹きつける。

わざわざ廃墟探索に行って動画配信したり、廃墟写真集などが売れるのも、時の移り変わりの無常さを思い知らされる悲壮美と妖しい魅力に満ちているからだ。

 

と、同時に―――それはとても「怖い」ものでもある。

そこがかつて華やかで賑やかだった場所であればあるほど、薄汚れ崩れゆくその様相は残酷で、随所に残留思念のようなものすら感じられる不気味さがある。

例えば「廃遊園地」などはその代表だろう。

 

「Happy Funland」

このゲームは朽ち果てた夜の遊園地の跡地を探索し、操業時には多くの子供たちを楽しませていたであろう様々なマスコットキャラの姿をした邪悪なる住人の追跡を振り切り、この禍々しく狂った世界から脱出するVRホラーゲームである。


ああもうこういうの大好き。

こういうの待ってた。

ホラーゲームの名シリーズ「サイレントヒル」でも湖畔の遊園地やショッピングモールなどは定番の舞台だが、もうホント怖い。満面の笑みを浮かべた着ぐるみや人形がボロボロに打ち捨てられてるのが怖い。それが起き上がって無言で襲い掛かってくるのがエグい。

このゲームは最初から最後までずっとソレ。ずっと遊園地。

 

これが結構広大な遊園地で、その荒廃っぷりも隅々まで丁寧に作り込んである。

敷地の通路はヒビ割れ、ゴミが散乱し、ネズミは当然として密林の中を流れる川には野生のワニまでもが繁殖していて危険がいっぱい。

園内のアトラクションや施設は崩れ、瓦礫と化し、しかし一部の電力はまだ生きていて歪んだBGMを流しながら遊具を稼働させている。実際に乗ったりして遊べるものも多い。VRには随分慣れたつもりだった自分も酔ったほどに、スウィング系ライドものはヤバい。

 

あからさまに東京ディズニーランドをパクってるところもあり笑えた。スペースマウンテンやホーンテッドマンションやカリブの海賊を体験したことがある人なら思わずニヤリとする演出も。
VRなので本当にその場にいるかのように楽しめる。

 

 

もっとも、これがただ他に人が居ないだけの廃遊園地なら―――乗り放題の遊具と廃墟探索が同時に楽しめる素敵スポットなのだが…

こんなんがわらわらと集まってきて無言で殴りつけてくるので気が休まらない。パターゴルフのクラブやモップなど、武器となりえるものを見つけたらとりあえず手にしておかないと不安でしゃーない。(長物さえ装備していれば撃退するのは割とカンタン)

 

 

終盤には管理室や工房などのバックヤードに入り、その奥に隠されていた怪しげな研究施設で脳がごっそり摘出された何者かの死体と、その脳が組み込まれたこれまたあからさまに怪しいバイオコンピュータを発見。この死体は一体誰で、一体ここで何が行われている?

クライマックスは文字通りジェットコースターのような展開で巨大なキングコングに捕まえられたり乗ってる観覧車がそのまま脱輪して園外へと転がり出たりとハラハラドキドキの超展開!まるで映画である。

 

 

PS5でも発売されてるようだが、これはやっぱりVRでこそ体験してもらいたい。
超オススメ!