セールスの役割は?・・・と問われたらどう答えますか?

「自社製品を売る事」、

「予算を達成すること」

「得意先での自社のシェアを上げること」

間違いない。


でも「買ってください」をストレートにぶつけると

買い手の反応は・・・


「それで私の問題が解決されるの?」

「あなたは私のことを考えてくれてるの?」


一方的な売り込みに対する買い手の抵抗は強い。


例えばこんな反応

「セールスを信用するな」と言わんばかり

1. セールスの熱意に翻弄されるな

2. 最初の提案に常に否定的に

3. 常に“不可能”を要求せよ。

4. もっとよい条件をもってこなければ”と思わせろ。

5. 上司に相談・・・・自分では決められないよう装え。

6. あくまで抜け目なく、ただし間抜けを装え

7. 少しでも見返りなしに商談を締結するな

8. 嘘の要求でほんとの要求を満たせ                      

9. 常に商談“破棄”に備えよ

これはかのフランスに本拠を置く「カルフール」のバイヤーマニュアルからの抜粋。

のようで本当の話、

Smarter Retailers Expect Manufacturer Expertise         賢明な小売はサプライヤーの専門性に期待し始めている。


「質問話法」「応酬話法」等の小手先の「テクニック」はこんな「購買のプロ」には通用しない。


買うプロセスを考えてみる

バイヤーの心の中をのぞいてみよう。

繰り返し述べた小売り環境の変化、オーバーストア、競争の激化の中・・・

買い手の命題は・・

どうやったらか勝てるか?どうやったら生き残れるか・・・


そのために・・

1.問題の認識・・・今のやり方に問題はないか?競合に劣る点はないか?

2.解決策の模索・・・問題があるとすれば、解決の機会はあるか?

3.オプションの評価・・・どんな選択肢があるのか?どれがうまくいくのか?

4.利益のの確認・・・自社の売り上げと利益に繋がるか?懸念はないか

5.合意・・・判った、どうすればいい?


これが「買うプロセス」だとすれば・・・
「売るプロセス」とは「買うプロセス」を鏡に映すように遡る


1.状況の要約(問題の抽出) 
個人、企業に関わらず事前に集めたカスタマーの情報を確認する。

そこから相手の抱える問題を抽出する。
①買い手がすでに意識している問題を確認する。

②気づいていない問題を示唆し共有する。

HOw?マクロ(市場トレンドや消費者ニーズ)とミクロ(得意先)を比較する


2.機会の提示

問題解決の機会を示唆しニーズ(課題)に置き換える。

①顕在ニーズを確認する

②気づいていない(潜在)ニーズを覚醒させる。

解決策に導く


3.アイデアの提供

提案を伝える・・・ここで初めて自社品を使った解決策を伝える。

なぜなら得意先が受け入れるのは課題の解決策

自分に有効か?ニーズを満たすか?が確信できた時。

だからまず課題を覚醒させ合意する、売りたいものはあとから。


4.フォードバック(反論)の対応

多くの場合最終決定の前に様々な懸念を示す。

これを排除し、買う正当性を与える。

How?反論に勝る明確な利点(多くの場合最終利益)を強調する


5.クロージング

ここでは合意を確実にするために双方のNext Stepを確認する。

例えば・・・

相手に・・・明日ご発注ください、各店にキャンペーンをご連絡ください。

自社は・・・来週デイスプレーをお送りします。弊社マーチャンダイザーが陳列に伺います。

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Smarter Retailers Expect Manufacturer Expertise         賢明な小売はサプライヤーの専門性に期待し始めている。

これが・・

得意先の課題解決のために(自社品を使った)解決策を提案する!!

・・・というプロセス










求められるセールス、昔と今と何が違う?

おそらく実務者は感じていること昔、

マーケットが成長していた時代には、おいてもらえれば売れた。


高度成長の背景は・・・

①人口増加  私が生まれた1950年代 人口は8000万人 今12800万人 約+50%

②所得倍増  記録にあるだけでも80年と2000年では所得+30%

高度成長はこの掛け算  市場規模はほぼ倍増


やり方がよほどひどくなければ、小売りは成長出来た。

バイヤーが仮に好き嫌いで仕入れを決めても結果はOKだった。


この時代、メーカーセールスにとってバイヤーは神様

好かれるように何でもした。私が新人セールスのころ・・・

「食わせる」「飲ませる」は当たり前

・・・ついでに「抱かせる」さえ目撃した。


今はどうか?2007年辺りをピークに人口は減少に転じた。

平均所得も同様、平均賃金2005年439万円 2009年429万円と減少に転じた。

市場縮小が始まった。

既存店前年割れは当たり前



今後はどうか?

1億3000万弱の今の人口は2050年代には8000万人台になる。

所得が減らないとしても、これだけで市場は3割減少、

世の小売りチェーンは売り上げ維持のため店舗を拡大する。

固定費は増え、利益は低下する。

これに対応できるところは限られてくる。

    人口推移  クリックして拡大

Smarter Retailers Expect Manufacturer Expertise         賢明な小売はサプライヤーの専門性に期待し始めている。
Smarter Retailers Expect Manufacturer Expertise         賢明な小売はサプライヤーの専門性に期待し始めている。

やがて淘汰が始まる。

パレートの法則 TOP20%が全体の売上の80%を代表する。

これはほぼ今の日本の小売り環境に当てはまる。


英国では寡占が進みTOP数社が80%を占める。

やがて日本もこうなる。


バイヤーは昔のようにのんびりしていられない。まさに戦々恐々。

   

メーカーのセールスとしては・・

むかし 買ってもらう、そのために「お願いセールス」「押し込みセールス」

そのためのリベート、


これから・・売れるようにして売る・・じゃなきゃ売れ残る、

そのためには販売力のポテンシャルがあるところを選ぶ

商圏顧客のニーズを把握し、顧客が求める商品と企画を考える

そのために小売りと協働し、知恵を絞る


これが「これからのセールス」






随分前に販売研修を覗いた時、講師が受講者にこう尋ねた。「営業で一番大事なことは何ですか?」

受講者の一人がサッと手を挙げこう答えた「自分を売り込むことです」

取引に誠実であること、約束を守ること、嘘をつかないこと、信頼を得ること・・・これらは営業に限らず、人間として重要。この意味で彼の意見には賛成。

但しこれは優れた提案の結果得られるべき。

好かれることが目的になり、提案が疎かになっては本末転倒

本末転倒は、またしばしばコントロールを失い迷走する。

・個人的に好かれる、

・へりくだる、媚びへつらう

・個人的にプレゼントをする。

これらは解釈によっては袖の下、賄賂に繋がる。これは収賄

むかし量販にも稀にそれを好むバイヤーがいたが解雇された。


バイヤーのタイプにより変わるアプローチ・・・も同様の範疇

外資系でもアナリスト型、バデイー型等のアプローチを真面目にに教えていた。(下はペプシコのトレーニングマニュアルから)

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Smarter Retailers Expect Manufacturer Expertise         賢明な小売はサプライヤーの専門性に期待し始めている。


ここでもう一度質問です。セールスに必要なものはなんですか?下記から選んでください。

□身だしなみ、挨拶

□人間関係

□自分を売り込む

□セールストーク、応酬話法

□効果的質問

□顧客の理解

□質の高い提案


言うまでもなく下に行くほど重要。

人間関係、セールストーク、質問のテクニックは、あってもいいが、「顧客を理解」し、「質の高い」「競争力のある」提案に至るプロセスともいえる。

身だしなみ、挨拶、などは、論外、社会人として最低限のルール、できない人を採用されない。


さて、「質の高い」提案が求められる背景は・・・

1.昨今の低成長、やがて市場縮小の環境下、個人の好き嫌いや、タイプに合わせたアプローチを受け入れ買ってくれる余裕のあるバイヤー、B顧客はいない。(逆の意味で中国辺りの成長市場では依然有効か?)

2.かってはバイヤーが唯一の接点だったため、タイプに合わせて売り込みを変える・・・の必要もあった。

カテゴリー提案が一般的になってきた最近では、バイヤーとの「通常商用取組談」よりJBP=JointBusinessPlannningといわれる所謂「取り組み会議」が重要に。

接点は複数、双方の社長が出席の上戦略的連携を合意する・・・相手は購買のプロ集団、そうすると提案のQuality=質が最も重要。