この「超」入門 失敗の本質がすごい!! | ぶっちゃけ税理士・岩松正記のブログ

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仙台市の税理士、岩松正記が書く、起業・ビジネスネタを中心に、ときどき読感やセミナー感想など。
山一證券の営業、アイリスオーヤマの財務・マーケティング、ベンチャー企業の上場担当役員等10年間に転職4回と無一文を経験後に開業。
モットーは「一蓮托生」

こんにちは。仙台の税理士、岩松正記です。

「失敗の本質」の解説本として今話題になっているのが
この「超入門 失敗の本質」です。

「失敗の本質」より読みやすいのは当然ですが、 
本書は「失敗の本質」よりも、より日本人の特質をつかんでいて、
日本軍の体質を現代日本の経営論に結びつけて語ることに
成功しているような気がします。

以降ここでは、「失敗の本質」を原書、「超入門 失敗の本質」を本書
とします。

「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ/鈴木 博毅
¥1,575
Amazon.co.jp


本書では、『失敗の本質』から学ぶ「敗戦7つの理由」として

1.戦略性
2.思考法
3.イノベーション
4.型の伝承
5.組織運営
6.リーダーシップ
7.メンタリティ

を挙げています。



特に戦略について、

「戦略とは追いかける指標のことである」

という斬新な定義を掲げている点が
本書の特筆すべき点の一つだと思います。


この「追いかける」という表現が秀逸だと思うのですが、
つまり、戦略というものはコロコロ変わるもので、固定化してはならない。
さらには、戦略を作ることを目的にしてしまってはいけない。

この捉え方があいまいだからこそ、競争に負けてしまうのだ、
と主張しているような気がします。


「指標」を「目標」とか「数値」に置き換えていいのか
どうかはちょっとわかりませんが、取りあえず私はそう取りました。



では、なぜ戦略性のない組織が(一時的にせよ)うまくいくのか。
その答えを著者はこう言っています。

日本軍ならびに日本企業が歴史上証明してきたことは、
必ずしも戦略が先になくとも勝利することができ、
ビジネスにおいても成功することができるという驚くべき事実です。

戦後経済で躍進した日本企業のイノベーションは意図せぬ発見であり、
現在の閉塞感は、イノベーションに必要な相手の指標を見抜く
必要性をこれまで日本人が明確に理解していなかったからです。

なるほど、ここに日本人の秘密があったのかと
思わず頷いてしまいました。



では、どのようにすれば「成功」するのか。
それを著者は「イノベーションを創造する3ステップ」として
次のように表しています。

ステップ① 戦場の勝敗を支配している「既存の指標」を発見する
ステップ② 敵が使いこなしている指標を「無効化」する
ステップ③ 支配的だった指標を凌駕する「新たな指標」で戦う


これこそが、これからの日本人、日本企業に求められている
姿勢なのではないか。

私は本書の奥深さに感銘を受けてしまいました。



また、原書でも何度も出てくるですが、本書でも
コンティンジェンシー・プラン(簡単に言えば、代替案)の重要性を謳っています。

やはり結局、半世紀以上前から日本人は代替案を考えるのが苦手だと。
否、考えないのではなく考えたくないのでしょうね、きっと。



それと組織論の中でも
繰り返しますが、人事評価とは組織に対するメッセージです。
といった著者の主張にも、熱いものを感じました。





本書は「もしドラ」や「ニーチェ本」などと同様、
ここ数年出版界を席巻している「解説本」の類と言えます。

なので、こういう本にありがちな批判が出ることは必至でしょう。


しかし、原書を読んだ私から言わせれば、そういう批判はまったくの的外れ。

なぜなら、本書は原書の価値を高めることはあっても
貶めることは一切ないからです。

本書を読めば、間違いなく原書を読みたくなる。
それだけでも本書の価値はあります。

ただそれだけでなく、本書には、原書に無い、書き手の熱いメッセージが
あります。それが私からすれば、原書以上の価値があると思う点です。


冒頭で著者はこう言っています。

今回の転換点には、私たち日本人は絶対に勝たなければいけません。
名著『失敗の本質』は、そのためにこそ書かれたのですから。


本書は今の閉塞感を打ち破るべき一冊と言えるでしょう。
まさに今、読むべき価値のある一冊ですね。


「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ/鈴木 博毅
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 *題名はホッテントリメーカーで作りました。