【 2011年04月01日03:14  更新】


お疲れ様です。更新が不規則で申し訳御座いません。これは3月29日分(※2ページ中1ページ目)のご報告になります。

24~28日やそれ以降の日記も編集中ではありますが、取り急ぎ、現在最も重要性の高い29日分をあげさせていただきます。
なおリアルタイムに記入していたものをまとめましたので、31日27時現在の状況とは多少差異があります。ご了承下さい。

また現在、行動範囲の拡大等により早期更新が非常に困難になっております。申し訳御座いません。
引き続き、可能な限り迅速に内地の情報をお届け出来るよう努力しますので、宜しくお願い致します。

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【29日・1/2ページ目】

今日も午前中から、送られてきた皆様からの物資が自宅に届きました。(※後程別記しますが、私の地域では有り難いことに27日から主な宅配便業者が「各家庭まで配送可能」になりました)
これらも前日・前々日同様NPO様に持ち込ませていただく予定で車に積んでいたのですが、ふと、私の祖母がいつもお世話になっているケアマネージャー様のことが気になり連絡を取りました。

そのケアマネージャー様はT様という方で去年の秋にお子さんを出産したばかりなのですが、産後すぐに職場復帰したとても仕事熱心な方です。
被災後の混乱の中でも24日に一度お電話を下さって、祖母がデイケア(通いの日帰り介護のようなものです)で利用している施設は建物は無事だがボイラーが壊れていて入浴出来ない旨、物資と人員が足りないのでサービスも暫く休みになる旨、施設再開時にはまたご連絡下さるとの旨を教えて下さいました。

今日もご連絡するとすぐお電話口に出て下さり、結果、やはり物資は足りていないとのことでしたので、急遽、T様のお勤め先である老人ホームにお届け先を変更しました。オムツやおしり拭き、使い捨てビニール手袋等をお渡ししました。

その特別養護老人ホーム様は私の地区から車で10~15分の地区にあります。入所とショートステイ併せて100人程を抱える施設様なのですが、伺った時に事務所に居たのはT様と施設責任者のY様だけでした。
お忙しい中本当に申し訳なかったのですが、お話したい旨を伝えるとお2人とも快くお時間を割いて下さり、お陰様で色々な相談をすることが出来ました。ですが、その中で伺った施設様のお話は本当に切迫したものでした。
更にお話ししながら同様の市内他施設様方にも連絡を取る中で、この施設様とご縁のある、津波被害に遭った地域のすぐそばにある有料老人ホーム様にも急遽物資を届けることになりましたが、そこでもまた違う事態が発生していました。
同じ市内の老人ホームであっても規模や地域によってこれほど違いがあるのかと、改めて市内高齢者の置かれた厳しい環境に危機感を覚えました。

さて、ここから先はその具体的内容になるのですが、お伝えしなければならない事項が非常に多くありますので、誠に勝手ではありますがそれぞれの施設様ごとに区切ってご報告させていただきます。
また非常に膨大な量の更新となりましたので、もう1施設様のご報告及び29日まとめに関しましては「被災日記7・2/2ページ目」にてさせていただきます。
わざわざ足を運んで下さっている皆様におかれましては、大変読みづらくご不便をお掛けしております。本当に申し訳御座いません。
ですが、内地にこういう場所が依然として存在しているという現状を、少しでも詳しく正確に皆様に知っていただければと思いますので、宜しければどうか今暫くお付き合い下さいませ。宜しくお願い致します。

それでは以下、1つ目の施設様に関するご報告です。


【特別養護老人ホーム・S様のケース】
●施設被害
建物の損傷はなし。周辺地域と同様に水道、ガス、電話がストップ。電気は一時消えたが11日夜に復旧。しかし施設はほぼ機能しなくなる。(水道は27日に復旧。ガスは施設に備え付けのもののため、点検して利用開始)
電話は光回線を利用していたため3~4日繋がらず、その間の利用者への安否確認は施設内の公衆電話を使って行ったとのこと。
●利用者への影響
施設機能が停止した上に食料等の諸物資が一時底をついた影響で、通常行っている介護が出来ないのは勿論、食事も出せなくなる危機的事態に。施設側は入所者の命を守ることを最優先とし、急遽、ショートステイや、入所者の一部でも可能な方には早急にご自宅へ戻っていただく対応を取る。
一人暮らしで認知症の酷い(節水しなければならないのに水を1日で使い切ってしまう等)方は、ご家族が迎えに来られる場合には来ていただいたが、要介護認定を受けている方ばかりのため各ご家庭でみれるかは難しい。現在残っている職員で自宅に戻った利用者をみて回っているが、それもガソリンがないため限られてしまう。
高齢者は免疫力が低下している方が多く衛生管理が重要だが、ご自身でお風呂に入れない方が殆どなので、29日現在入浴に関しては被害を免れたデイサービスや訪問入浴業者に連絡し臨時対応を頼んでいる。
亡くなった方はいないが、道が塞がっていて訪問出来ない家があり心配している。
●人に対する被害
利用者に怪我人はなかったものの、災害の影響で避難せざるを得なかったりして職員が相当数出勤出来ない状態に。現在の職員数は、震災前の約3分の1。
利用者やその周辺地域の事情を一番把握しているのは担当ケアマネだが、そのケアマネが避難してしまっている場合実態がうまく把握出来ない。人員も足りないため、他担当の持っていた利用者にまでなかなか行き届いたフォローが出来ないのが実情。
●支援
19日頃から社会福祉協議会が動いてくれており、寝たきりの方の訪問入浴等に登録ヘルパーを派遣してくれてはいるが、ヘルパー自身もガソリンがなく動けなかったりする場合も。震災の影響でヘルパー事業所の登録人数自体少なくなっている上に実際動けるヘルパーも限られているようで、人員及びガソリン不足は依然深刻。
●物資
22日から業者が動き始めた。しかし現29日時点では被災前の在庫でまかなっているため、中には既に品薄のものもある。物資が安定して入ってこない限り不安は拭えない。
●その他
○各福祉施設間で協力しようにも、それぞれ自分の施設を守るので手一杯。施設間の緊急ネットワークのようなものも機能しておらず、他地域や施設がどうなっているのかよく分からない状態。
(このお話の後に実際各地の施設様に連絡を取ったところ、海沿い地区の老人ホームさんの窮状が明らかになり伺うことに)
○医療に関しては常日頃から関わりのある医師が入り頑張って下さっているが、薬の問題が深刻化している。特殊な薬が手に入らない。医師に処方箋をきってもらっても薬局が開いていない。開いていても、今の状況において特殊な薬は在庫もないし入ってこないとのことで、入手出来ない。


お2人は、それでも水道が復旧した辺りからは随分良くなった、あとはガソリンと人手さえあればとお話しして下さいましたが、情けないことに、私は上記を聞いている間呻くことしか出来ませんでした。
しかし、そこに輪をかけてショックだったのは、施設長のY様が話して下さった一人のご老人の話です。

ですが、そちらは現在私が首を突っ込ませていただいている問題とは若干内容が異なりますので、詳細は以下に区切って掲載させていただきます。しかしかなり重要なお話ですので、宜しければお目通し願います。

では、もう1施設様のご報告からは「29日(2/2ページ目)」として続きます。文章量が多く誠に申し訳御座いませんが、更新の際には宜しくお願い致します。

頑張っぺ、いわき!頑張っぺ、浜っ子!俺らは、生きてる!!

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【Y様のお話】

17日に、このホームを利用していた93歳の男性が、ご家族と一緒に千葉へ避難して行ったそうです。
元々寝たきりで訪問看護を受けている方でしたが、この震災で市内医療は麻痺しそれが受けられなくなりました。点滴が出来なくなった上に床擦れも酷く喫緊の対応が必要でしたが、この混乱した市内には、ご家族が掛け合った限りでは受け入れて貰える場所はありませんでした。
担当の訪看さんも必死に動いて下さり、17日にようやく、千葉の訪看さんが病院の手筈を整えて下さったそうです。18日の朝に入院予定でベッドを空けていただき、その日の内に急ぎ家族で移動しました。その日は、千葉のご親戚のお宅に身を寄せ一晩を過ごしたそうです。

しかし18日の朝に入院予定の病院へ向かうと「スクリーニング検査を受けていないから入院出来ない」と断られたそうです。
それもその病院の判断としてではなく、医師会として、そうなっていると説明されたそうです。

結局その方は入院出来ず、そのままご親戚の家で訪問看護を受けることになったそうです。それでもご家族はY様への電話で「看護を受けられるだけでも有り難い」と仰ったそうです。

まさしく、絶句でした。あまりの内容の衝撃に、本当に息さえ出来ませんでした。

確かに、元々訪問看護を受けていた方ではあります。
しかし、看護を受けられなかった間の生活と長距離の移動で、体力は確実に落ちているはずです。訪問看護では対応が不十分になるのは、私でさえ少し考えれば分かります。ましてや医師の目から見れば、そんなことは明白なはずです。

福島県から来たというだけです。避難地域にも屋内退避地域にも全くかかっていない、国でいうところの「安全」な地域から行った方々です。
そもそもスクリーニング検査自体、国は義務付けていません。検査はあくまでも、個人の意志で受けるものと明確に示されています。

それなのに、です。
福島から来た病人が、実際に他県病院に入院するためには、スクリーニング検査が「必要」なのです。
これは、どういうことなのでしょうか。

93歳です。寝たきりです。訪問看護を受けなければならない程の方です。
訪問看護をご存知ない方もいらっしゃるかも知れませんので申し上げますが、訪問看護とはつまり、自宅に来てくれるホスピスのようなものです。末期医療の一つです。つまりは、そういう状態の方です。
そんな方が、しかもこの混乱の中を千葉まで自家用車で移動など、命の危険が伴った筈です。車の揺れ一つでさえ大きな苦痛なのです。それほどの危険を犯してまで助けを求めた先で「汚染されているかもしれないから」と入院を断られるなど、ご本人は、ご家族は、どれほどショックだったでしょうか。絶望の淵からようやく救われたと思った瞬間に、また突き飛ばされたも同然の気持ちだったのではないでしょうか。

このように国からも医療界からも存在をグレーゾーンにされ距離を置かれては、今、福島県内での治療が困難な病人や高齢者やその他県外での治療を必要としている方々は、どうすれば良いのでしょう。
そしてもし仮にこのような事態が今、日本の至るところで起こっているとしたら、全ての福島県民は既に、自由に県から出ることも叶わないのでしょうか。福島県は実質上既に、国内ばかりでなく世界中からも「汚染された地域」の認識と扱いしか受けていないと感じるのは、私だけでしょうか。

放射能汚染が怖いのは分かります。
もし万一、被曝している者を入院させてしまったらという病院側の考えも、安全管理上の一論としては、理解出来ます。

でも

寝たきりで今やっとこの瞬間を生きている、一刻も早い処置と安静を必要としている方を「助けて欲しいならまずはスクリーニング検査を受けろ」と突っぱねるのが、現代日本なのでしょうか。日本医療界の方針なのでしょうか。

あまりにも、酷すぎます。
酷すぎます。

私達より長い時間を生き、私達の生活の礎の一端を築いて下さり、戦争やこの大震災を生き延びた命です。本来なら何も憂うことがないような生活を送っていただくのが当然の、今を生きている命です。
一体、この方に何の咎があるのでしょうか。これ以上、何を背負わせようというのでしょうか。

そして、今後もこのような扱いをされるなら、私達福島県民は、この震災を乗り切ったとしても、その先をどう生きれば良いのでしょうか。

一日でも一秒でも早く、これらの不安が解消されることを切に願います。