木曽駒ヶ岳(2023・8・11)

 今年の夏山は、コロナ明けの混雑が予想されます。

2ヶ月前から計画を立てましたが行きたいと考えていた山の小屋は何処も満室です。

そこで、比較的空いていそうな中央アルプスに予定を変更。

中央アルプスの主峰木曽駒ヶ岳(2956.3m)への登山を計画し、何とか小屋の予約が取れました。

 コロナ明けと言うこともあるけど近年、この時期の登山は盛況で、どの小屋も混んでいるんだよね・・・

木曽駒への登山ルートは、いくつかあります。

中でもロープウエイを利用して千畳敷から登るルートは、気軽に2000m以上の高所まで行けるので観光登山者でいつも銀座並みの混み具合です。

 そこで、我らは、クラシックルートである「桂小場」からのルートを採ることにしました。お盆のこの時期、新田次郎の著「聖職の碑」にある遭難碑に詣でることも目標の一つです。

 11日

 新宿を12時に出発、今夜は伊那市のビジネスホテルに泊まり早朝5時、タクシーで「桂小場」の登山口に向かいます。

 12日

桂小場の登山口

 

6:00 登山開始

登り始めるとすぐに木立の間から太陽が出てきました。

  

  可憐な花が咲いています

  

  ぶどうの泉(水の補給が出来る)

  

 樹林帯の中を延々と登って行きます。

 野田場を過ぎると緩い尾根筋に出て馬返しに到着。

  

此処からは、しばらくの間苔むした樹林帯が続き森林浴を楽しめます。(八ヶ岳の山域に似てますね。)

徐々にキツクなって行く山道の左手に大樽避難小屋があります。此処からが、胸突き八丁と呼ばれる急登になります。

 ヘロヘロになりながら、やっとこ胸突きの頭に到着。

  

ここを過ぎると、やがて主稜線に出て展望が開けてきます。

左手に巨大な行者岩が聳え前方には将棋頭山が迫ってきます。眼下には、伊那の街並みが広がっています。

なかなかにキツイ登りですが思った通り、此のルートの登

山者は少なく静かな山行です。

   正面の将棋頭山を左に巻いて行きます。

13:00 分岐から30分で西駒山荘に到着。

本日は、此の小屋に宿泊します。

此の小屋は、伊那市が管理している静かな小屋です。

まだ早いので誰もいませんね。

   宿泊の手続きを済ませ、早速コヒータイム。

   毎度のことですが、山のコーヒーは格別です。

    

      小屋の裏手は、コマクサの群生地になっています。

    この時期、盛りは過ぎていますが最後のコマクサが

    頑張って咲いていました。

    

 ゆっくりとコーヒータイムを楽しんだ後、まだまだ夕刻までの時間がたっぷりあるので、此処から20分ほど先の聖職の碑まで出かけご挨拶がてら詣でてきます。

    

 その日、伊那市の「中箕輪尋常高等小学校(現在の中学校)」は恒例の修学登山を慣行中でした。

その日、この場所で、突然の嵐(台風)に遭遇し学童を引率中の教職員を含めて11名が亡くなりました。

大正2年8月の出来事です。今日のように気象情報がない時代避けられない出来事だったのでしょうか?

下界は8月の盛夏です。夏の嵐による「低体温症」でした。

その日も駒ヶ岳は彼らを見つめていたのでしょうね。

 この事件は、数年前の北海道トムラウシ山の集団遭難を思い浮かべる出来事ですね。
十分な装備もないまま、高山に出かける恐ろしさを肝に銘じる出来事です。

 

眼前の駒が岳は、今日は、穏やかにどっしりとたたずんでいます。    碑から駒ヶ岳を望む

 山の夜は、ゆっくりと暮れて行きます。

私は、山で過ごすこの時間が一番好きです。

何だか自然の中に溶け込んで行きそうな気分。

深い海の底から遥か上空の海面に揺れる光をぼんやり眺めているような不思議な気分。

昔々、確かに感じたことのあるこの気分、心の中から沸々と湧き上がる小さな小さな気泡のような吐息にも似た安らぎに満たされて行き、心が安らぐ至福のひと時です。

    靜かに穏やかな時間が流れています。

    夜になると伊那の町灯りが綺麗です。

19時を過ぎると漆黒の闇。

夜空には天の川がくっきりと浮かび満天の星が出ています。

 飽きることなく星空を眺めていると身体が冷えてきます。急いで石室のストーブに駆け寄ります。

 真夏のこの時期でも3000メートル近いこの場所は、ダウン

やストーブが欠かせません。赤々とストーブが燃え、心の中まで温かく満たされて行きます。みんな黙って火を見つめています。

13日、4時起床。

     東の空が明るくなってきました。

    日の出です。

今日もいい天気です。

台風の動きが気になりますが、何とか今日いっぱいは持ちそうです。さて、出かけますか!

大正2年の遭難事件をきっかけに作られた石室が当時のまま

の姿で今も残され、文化遺産として大事に使用されていることに感銘を受けました。

石室の中で、コーヒーを沸かし、朝食をとります。

5時。準備を整えいつも通りに出発。

遭難記念碑にお別れを告げます。   

    宝剣岳が顔を出して来ました。

 この先の八合目分岐にザックをデポして農ヶ池に寄り路をします。15分ほどで農ヶ池に到着。

       農ヶ池

   

      逆さ宝剣が綺麗に映っています。

農ヶ池への分岐を過ぎてしばらく登ると馬の背の急登が見えて来ます。

   あの先のピークを超えると馬の背でです。

 9:00 急登の馬の背を登り切り、木曽駒ヶ岳(2956.3m)の主峰に登頂。

山頂は、ロープウエイを利用した千畳敷からの登山者で大混雑です。

 岩陰で小屋で準備をして頂いた弁当をいただきます。

 そして、コーヒータイム。

          駒ヶ岳神社

 乗超浄土まで降りてきました。

 思った通り、観光登山の人々でごった替えしています。

  振り返れば宝剣山荘  

此処から、下に見える駒ヶ岳ロープウエイの駅まで降って行きます。

  振り返れば、宝剣岳が白雲の中に屹立しています。

       

台風6号が通り過ぎて行きました。

7号が、小笠原諸島に近づいています。

変わりやすい、天候が続いていますが、6号が通り過ぎ7号が

接近する合間を縫って、決行することにいたしました。

もちろん、風雨の装備は、万全です。

 風雨を覚悟して出かけたのですが思いのほか良い天気。

雨具をを持ち出すこともなく快適で気持ちの良い山行が楽しめました。

 最近の夏山は、ひと昔前の夏山と違って、「酷暑」と言える気温です。それでも、3,000m級の山の稜線は、爽やかな風が吹いていました。

 

【YouTube】動画をアップしました。

https://youtu.be/WbYl06Xv9wc