道路予定地の不法占有により、8年以上も工事が停止している千葉ニュータウン北環状線。6年度県予算では、同地の廃棄物撤去費用として20億円近くが計上されたものの、工事再開の目途は全く立っていません。

 

 

問題となっているのは白井市清戸の未着工区間。昭和40年代、県企業庁が取得した道路用地に廃棄物が投棄され、加えてその廃棄物の上に事務所等を設置したA社が不法占有を続けました。

 

当時、県はA社に対する法的対応について検討したものの、裁判での解決に時間を要し工事完了に遅れが出るとして断念。平成24年にURは道路地物件移転補償などとして計2億8900万円を支払い、一度は道路着工に至っています。ところが、廃棄物の撤去作業による振動が激しいとして、さらなる高額な補償を求められ、平成27年以降、8年以上にわたって工事がストップしたままとなっているのです。

 

ところで、この2月県議会に提出された6年度当初予算案では、北環状線廃棄物処理委託費用として19億7900万円が計上されています。いよいよ廃棄物撤去に着手かとの期待の声も上がったところですが、実はこれ、A社との交渉が進展した場合に迅速対応できるようにと毎年予算計上されているもの。翌年2月議会にて同額を減額補正することが続いており、今回で9回目の計上です。

 

では、URとA社との直近の交渉状況はどうなっているのか。平成27年以降、しばらく補償交渉が続けられたものの合意には至らず。平成29年にURより提起された債務不存在確認訴訟が翌年却下された一方、平成31年にA社より起こされた調停もその日一日で不成立となっています。令和4年にはA社がURを相手取って提訴していますが、今年度に入ってからその訴えは棄却されています。

 

合意に至らない原因は補償金額の開きです。こうした公共補償については国の基準があり、今回UR側が支払うことができるのはざっくり1億円程度。対して相手方はそれを大きく超える補償を求めているとされ、到底合意できる状況にありません。早期開通を求める声は多く聞かれますが、解決までの道のりは見出せない状況です。