今年2月に実施された県公立高入試において、98校で933件が発覚した採点誤り。県教委が再発防止策を発表する一方、全受験者への答案写しの返却の実現が求められます。

 

 

問題発覚のきっかけとなったのが、県立小金高校受検者による自己情報開示請求です。同校で当該受検者の答案を確認したところ、採点誤りがあったことが判明し、さらに他受検者についても再点検したところ、複数教科で複数名にわたる採点誤りが発覚。これを受け、県内全受検者の答案の一斉点検を実施したところ、県立高校120校中92校870件、市立高校7校中6校63件の採点誤りが明らかとなったのです。

 

県立津田沼高校(2名)、県立松戸高校(1名)など計5校6名の受検者については、本来合格とすべき受検者を不合格としていたこと、保管していた令和4年度学力検査の答案についても、4校中3校40件の採点誤りが確認され、令和4年度以前の入学者選抜学力検査においても多くの採点誤りがあったと推察されることは特に重大です。

 

県は採点誤りの原因として、採点期間の短さ、長時間にわたる採点業務、採点作業に集中できない採点者の環境、解答用紙における小問得点記入欄の不備を挙げ、構造的な問題があったことを認めています。その上で、マークシート式学力検査問題の採用、合否ボーダーライン付近の答案点検の実施、採点・点検を行うための臨時休業日の追加設定などの改善策を発表しています。

 

採点誤りを発見するための最も効果的な方法は、自身の答案を見て確認すること。しかし、学力検査の「点数」は、簡易な手続きにより請求した当日に知ることができる一方、「答案自体」を確認するためには複雑な手続きが必要です。

 

ところで、令和6年度入試からは各受検者の答案をスキャンし採点することとなるため、答案写しのデータを受検者に返却することがより容易となります。9月県議会ではこの点を指摘した上で、県公立高入試において、全受検者に答案写しを返却することについて強く要望いたしました。

 

高校入試の結果は、受検者の人生を大きく左右するほどの大きな影響を与えるものであり、採点誤りが発生することがないよう、引き続き対策の強化を求めてまいります。