介護サービスについてのケアプラン作成業務などを担う介護支援専門員(ケアマネジャー)。受験資格が厳しくなったことから合格者が減少しており、人材不足が大きな課題となっています。

 

 

今年6月に開催された日本介護支援専門員協会の総会。事業計画等の報告がなされる中、七種副会長からは「人材確保が一番大きな課題。若い世代に志望していただかないと介護支援専門員の未来は厳しい」との懸念の声が上げられています。

県高齢者保健福祉計画によると、平成20年度に17万人弱であった県内の要介護等認定者数(要支援1~要介護5に認定された方の数)は、令和5年度現在で32万4千人。令和22年度には42万2千人にまで増加すると見込まれています。さらに、要介護4~5のいわゆる重度者は令和22年度に9万4千人にまで上るとされ、ケアマネジャーの確保は喫緊の課題となっているのです。

 

ケアマネ不足の一因となったのが、平成30年の受験資格の変更です。それまでホームヘルパー経験などでも受けられていたものが、「介護福祉士や看護師等でかつ従事経験5年以上」等とハードルが上げられたことで受験者が半減。県内の年間合格者数も400人程度にとどまっています。

 

くわえて課題なのは、ケアマネ資格を持ちながらも有効な登録をしていない「潜在有資格者」の多さ。県内には2万7千人超の有資格者がいるものの、実際に有効期間内の登録を行っているのは9千2百人と全体の3分の1にとどまります。

 背景にあるのはケアマネジャー報酬の低さ。同職の平均基本給(280,070円)は看護職員や理学療法士とほぼ同額。介護職員の収入を9千円程増やすために行われた令和4年の介護報酬改定でも、ケアマネジャーは対象外となったのです。 

 

介護や医療の現場にて経験を積み、かつ合格率10~20%という難関試験を突破しなければならないことを考えれば、十分な処遇であるとは言えません。来年に迎える国の介護報酬改定では、若者がケアマネジャーを目指したいと思える処遇の実現が求められます。