こんにちは、千葉県議会議員の岩井やすのりです!今月発行のいわちゃんポスト126号(12月号)では、後見人制度と民事信託について取り上げています。

 

 

先日、ある知り合いから義母の財産処分についての相談が寄せられました。その方のご主人の母は老人ホームに入所しているのですが、その義母に課される税金の支払いに苦労しているため、義母名義の不動産を売却し支払いに充てることはできないかというものです。

 

岩井の判断に余る問題ゆえ、相続や不動産の問題に詳しい知り合いの専門家に相談してみると、一言目に返ってきたのが「所有者である義母に認知症などはありませんか?」との質問です。すぐさま確認すると、「老人ホーム」とは特別養護老人ホームであり、義母が一定程度の認知症の状態にあることが判明。一般論として、後見人制度を利用したとしても、認知症にある方の財産の処分はかなり難しいと告げられることとなります。

 

そもそも土地、建物などの財産を売却したり、修繕したりすることを決められるのは、所有権を持った本人のみ。たとえ同居の親族であっても、本人の了解を得ずに売却することはできず、所有者が認知症となってしまった場合、「打つ手なし」といった状況になりかねないのです。

 

H12年に始まった後見人制度は、判断が低下してしまった人のために、親族や弁護士などが本人に代わって財産管理や契約行為を行えるというもの。しかし、任意後見制度は本人が認知症発症後に利用できるものではなく、また発症後に利用できる法定後見制度も「本人財産の維持・管理」を目的としており、土地、建物等の財産の処分は対象外とみなされてしまいます。

 

相続対策を含め、打つ手なしとなってしまう前に準備しておくことが肝要となるわけですが、前述の任意後見制度と併わせ活用すべきなのが民事(家族)信託制度です。これは委託者の「財産管理」と「財産継承」を目的としたもので、後見人制度と比較し、①受託者との契約により財産運用や処分も自由にできる、②家裁等とのやり取りの煩雑さから解放される、③契約により本人死後の財産管理処分までフォローが可能、といったメリットがあります。一方、親族が受託者となった場合、不正に財産を流用してしまうといったトラブルが少なくなく、専門職業家が介在し牽制を働かせる等の適切な運用が必要です。

 

認知症を背景とした財産管理や財産承継対策は大きな課題。引き続き、地域からのご相談に応えてまいります。