印旛沼水や栄町、印西市域の洪水対策として欠かせない長門川の改修事業。9月県議会にて、県は令和3年度からの護岸工事着手を明らかにする一方、岩井は関連して大きな影響を受ける、将監(しょうげん)川の整備を強く要望しました。

 

 

●30年度に事業化の長門川改修 未だ着工至らず

県下で甚大な被害をもたらした昨年10月の大雨。印旛沼流域の佐倉市では10月の観測史上1位となる雨量を記録し、印旛沼は堤防満杯に。印旛沼の水位が高い状況が長く続いたため、沼に流入する鹿島川や高崎川では洪水を流すことができず、結果、付近の道路や民家などが広く冠水被害に見舞われる事態となりました。

 

こうした印旛沼流域の浸水被害を軽減するためには、沼の排水能力の向上が不可欠。長門川は、印旛沼水の利根川への放水河川として位置づけられるところですが、コンクリートの護岸整備はおろか木柵による補強もほとんど行われておらず、とても非常時の大放流に耐えられる状況にありません。

 

地元自治体である栄町による長年にわたる要望活動が実り、30年には長門川改修の事業化がなされていますが、実は未だ現場への着手には至っていないのです。

 

●長門川を段階的整備 知事、3年度着工を明言

この9月県議会にて早期の着工を求めた岩井に対し、森田知事は印旛沼水の予備排水の運用見直しとともに、長門川の護岸と堤防の整備を進めていくと答弁。早期に効果が発揮されるよう、工事区間約4.5キロメートルについて段階的に整備を進めるとし、堤防工事に先立つ護岸工事について、令和3年度から着手することを明らかにしました。

 

●相対的に低くなる将監川 逆流対策を強く要望

そこで問題となるのが、長門川に流入する関連河川、長門川の逆流対策です。 護岸や堤防の整備を行い、流量の大幅増に耐えられるようにするということは、長門川の水位がこれより高くなることを意味します。その結果、長門川に注ぐ支川である将監川の水位が相対的に低くなってしまい、大雨時などには長門川水が逆流入し、場合によっては周辺地域に浸水被害を招いてしまう恐れさえあるわけです。

 

一般に本川の洪水が支川に逆流しないようにするためには、合流付近に逆流を防止するための水門建設や、支川に本川並みの護岸、堤防を設けるバック堤などが考えられるところ。9月県議会では、すでに地元から懸念の声が上がっていることを指摘した上で、これら将監川等の逆流対策について強く要望いたしました。

 

長門川の整備事業については工期の短縮が図られたため、護岸の先行工事は数年程度で完成すると見られていますが、同時に将監川など関連河川についても十分な対策を求めてまいります。