新型コロナウイルスによる経済の冷え込みを契機に、家賃が支払えない入居者を対象とした住居確保給付金の受給要件の緩和が進む一方、学生の利用には依然として高いハードルが残っています。

 

パート・アルバイトも対象 3か月間家賃を支給

住居確保給付金は、2015年に施行された生活困窮者自立支援制度に基づくものです。離職や経済的な困窮を理由に住まいを失った人、仕事が休業になるなどして家賃を支払う目処が立たず、住まいを失う恐れがある人が対象。パートやアルバイトで働く人にも支給され、原則として3カ月(最大9カ月)の間、家賃が大家の口座に直接振り込まれる仕組みとなっています。

 

しかし、手続きの煩雑さ等から2018年度の給付実績はわずか4,000件。新型コロナによる経済への影響が深刻化する中、対象者拡大や求職要件の撤廃等、同給付金の申請要件の見直しが進んでいます。

 

ハローワークでの就職活動要件が緩和

見直しの一つ目は対象者の拡大が図られた事。離職後2年以内の人だけでなく、勤め先の休業や子どもの休校などで仕事ができず、家賃支払いの目処が立たない人にも給付されるようになっています。

 

二点目は就職活動要件が緩和された事。要件となっていたハローワークでの月2回以上の職業相談、自治体での月4回以上の面接支援等は、「誠実かつ熱心な求職活動」に緩和され、ハローワークへの求職申込なども不要になったところです。

 

その他、「申請月の翌月から収入が減る人も対象に加える」「65歳未満の年齢要件を撤廃する」といった要件緩和も行われました。

 

学生は「親からの家計の独立」が受給要件

ところで、全日制の大学に通う学生であっても、要件を満たせば支給対象になるというものの、対象は「扶養されておらず社会保険料を自ら支払っている」など、親から独立し学費も生活費も自分でまかなっている学生に限られています。厚労省は受給対象となる学生について、「児童養護施設を出て大学に通う学生」など、「事情により両親を頼る事ができず、扶養に入る等もできない学生」と規定しており、極めて厳しい条件となっているのです。

 

しかしながら、学生本人のアルバイト収入なくては大学進学や下宿生活を継続できないケースは少なくなく、現に大学中退を考えざるを得ないと言う悲痛な声が多く上がっています。授業料減免や給付型奨学金等の支援制度もあるとはいえ、それと並行した住居確保のための支援策が求められています。