29年度より県が強化している印旛沼周辺のカミツキガメ防除対策。今年度は、9月末までの捕獲頭数が1476頭と伸び悩んでいます。

 

 

カミツキガメは最大背甲長50 ㎝まで成長する淡水性のカメ類。北米などが原産の外来種ですが、ペットとして飼われていた個体が逃げ出すなどして国内で野生化。近寄った人間にかみつく危険性があるほか、在来種の生物を襲い生態系を壊す恐れもあります。

 

 県はH19年にカミツキガメ防除実施計画を策定。特に29年度からの3年間を「戦略集中実施期」と位置付け、カミツキガメ個体数減少に必要とされる年2,500頭の捕獲を目標に取組み強化を図っているところです。具体的には、捕獲専門の任期付き職員の採用やワナ1,100基を仕掛ける費用に年間3,500万円の予算を計上。捕獲作業地域を印旛沼に注ぐ河川上流部に拡大したほか、カメに取り付けた発信器で追跡調査を行ったり、「もんどりワナ」を農業水路の狭い場所に配置したりといった新たな取組みにも着手しています。

 

事業1年目の29年度は、捕獲業者を決める入札の不調やワナの納品の遅れで1,429頭の捕獲にとどまりましたが、2年目となった30年度には前年度比58%増の2,259頭を捕獲。仕上げとなる今年度はさらなる実績の積み上げが期待されていたところですが、台風等の天候不順により捕獲作業が行えない日が続き、9月末までの捕獲は1,476頭と、2,000頭の達成さえ難しい状況にあります。

 

ところで、カミツキガメの捕獲は、ワナや定置網といった方法で県が行う捕獲の他、県民からの目撃情報があった場合に市町村が緊急的に捕獲する緊急収容捕獲があります。19年度からの10年間の緊急収容捕獲は1350頭に上り、県は捕獲方法の一手段として重視。カミツキガメの特徴や防除の意義などについて県民への普及啓発を図り、通報による緊急収容捕獲数の拡大に努めるとしてきました。

 

しかし、29年度の緊急収容捕獲170頭は、全体捕獲のうちの11.8%、30年度は同じく11.5%であり、26~28年度の20%前後から低下傾向。天候等の外部要因の影響を受けにくい緊急収容捕獲ですが、強化期間のこの3年間でも拡大は見られません。11月に行われた県決算委員会ではこの問題を指摘。市町村や県民への啓発等の取組強化を強く要望しました。