昨年12月にスタートした、職場でのストレスチェック制度
が半年を経過しましたが、本日は、制度構築にあたる
社会背景について考察いたします。
労働者のメンタルヘルスについて定期的にとっている
「労働者健康状況調査」によれば、労働者の6割近くが
強い不安や悩み、ストレスを抱えており、仕事の質と量、
セクハラやパワハラなどの職場内の人間関係が主要因
であるとされています。
精神障害による労災認定については、申請数・認定数
ともに大きく拡大。H25年の労災申請数1409件、労災
認定数436件はともに過去最多であり、いずれもこの
10年間で3倍以上に膨らんでいること、また、労働者の
自殺者数が年間7千人を超え、全体自殺者数が減少
傾向にある中、労働者の割合が3割近くに増加している
こと等が、ストレスチェック制度創設の背景にあったと
指摘されているところです。
制度施行前からも、労働者や管理監督者への教育研修、
情報提供、相談体制の構築などのメンタルヘルス対策は
取り組まれていました。
しかし、H25年のメンタルヘルス対策の実施率は平均60.7%。
従業員1000人以上事業場では97.9%など、大規模
事業場で9割以上となっている一方で、29人以下事業
場で55.2%など、小規模事業場の取り組みの遅れ、
言い換えれば、事業場規模のよるメンタルヘルスの
実施格差が生じていたのです。
さらに、制度施行前のH25年時点で、大企業の約6割が
既にストレスチェックを実施していたというのですから
驚きです。
したがって、このストレスチェックの取り組みは、立ち遅れる
小規模事業場のメンタルヘルス対策が念頭にあったもの
と推測されます。
つづく