ゴールデンウィーク直前の28日、銚子市猿田町にある

盲養護老人ホーム「猿田の丘 なでしこ」を訪問し、施設に

ついての調査を行いました。


ソフトは良い。しかしハード面が・・・。これがわたくしの

率直な感想です。


視覚障害を持つ高齢者も、養護老人ホームまたは特別

養護老人ホームに入所できますが、これらの施設や介護

サービスは晴眼者の入所を前提としているため、視覚

障害者に十分適していないケースが少なくありません。


全視覚障害者のうち、60歳以上の高齢者が7割以上を

占めているとされる中、高齢視覚障害者に対応するため

特に設置されるのが、この盲養護老人ホームです。


さて、猿田の丘なでしこは、県が所有し、指定管理者が

管理する「猿田荘」として運営されていたもの。しかし、

この4月からは、事業譲渡を受けた社会福祉法人済生会

が運営しています。


旧猿田荘の事業譲渡について、県が公告したのは昨年

6月末。土地、建物を含めた譲渡価格500万円という

破格条件であったものの、ここ数年、毎年5000万円程度

の赤字運営(県費補填)が常態化していたことや、立地や

施設の居住環境に恵まれていないこと等から、他の福祉

団体からも入札は見合わせるとの声が聞かれていました。


当該施設は設置からすでに44年が経過。耐用年数である

47年をまもなく迎えますが、現在のところ、大幅更新の

予定は立っていないようです。


近年、盲老人ホームの居住スペースは(1人用の)個室が

中心である中、猿田の丘なでしこでは未だ、7割が3人用

居室のまま。また、銚子市猿田は県東端部にあり、猿田駅

への電車の本数が少ない等、県内でも特にアクセスしに

くい地域であることに加え、市街地からも離れ、駅周辺に

は1軒の商店も、バス、タクシーもないような土地柄であり、

立地の面でも評判はよろしくありません。


前掲の団体関係者は、県がこれまで、立地や施設整備に

関する改善要望に応えてきておらず、これら課題を抱えた

まま事業譲渡されることの問題点も指摘しています。


立地を含めたハード面の課題はそのまま。もちろん、済生

会に譲渡されたとはいえ、本県に唯一の盲老人ホームで

あり、県の関わりと責任は大きい。障害者やその家族に

とって利用しやすい、また、満足しうる施設となるよう、

時間をかけて働きかけを行ってまいります。