【結婚していなくても保護命令を出してもらえる3つのケース】
結論から申しますと、
DV防止法の保護命令は、
結婚していなくても出してもらえる場合があります。
結婚していなくても出してもらえる場合は、
わかりやすい言葉で申し上げますと以下の3つです。
①事実婚状態にある人から暴力や脅迫を受けているケース
②一緒に住んでいる恋人から暴力や脅迫を受けているケース
③元配偶者から別れる前に暴力や脅迫を受けているケース
①と②の違いは微妙ですので、
最低限一緒に住んでいる恋人からの暴力であれば、
DV防止法で対応できる、
と考えておくとわかりやすいでしょう。
ルームシェアだと、対応できないということになります。
DV防止法で対応できない場合は、
民事上の仮処分や、ストーカー防止法に基づき警察に動いてもらう、
といった方法での対応が考えられます。
配偶者および①②③のケースに当てはまらない場合でも、
あきらめずに弁護士に相談です。
【そもそも保護命令とはなにか】
配偶者からの暴力がある場合、
もしくは前述の①②③のケースの場合
一定の条件(一般的には警察へのDV相談でOK)を満たして裁判所に申し立てをすると、
裁判所から暴力の加害者に、
ⅰ接近禁止:半年間被害者に近づくな
ⅱ退去:2ヶ月間被害者と同居している場所から離れろ
ⅲ子への接近禁止:半年間子に近づくな
ⅳ親族等への接近禁止:半年間被害者の親族や勤務先に近づくな
ⅴ電話等禁止:半年間被害者に電話やメールで連絡を取るな
といった命令を出してもらえるのです。
それぞれの命令ごとに、
必要な要件は変わってきます。
例えばⅲ子への接近禁止命令は、
子に対しても暴力がある場合や、
子の連れ去りが発生する可能性がある場合、
といった要件が必要になります。
【裁判所の命令に効果があるの?】
保護命令に違反すると、罰則があります。
1年以下の懲役、または100万円以下の罰金です。
裁判所に保護命令を申し立てると、
裁判官が加害者を裁判所に呼び出して説明をします。
その際に、罰則の存在を被害者が知る機会ができますから、
普通の人であれば、保護命令が出された場合、
これに違反することはしません。
また、仮に薬物中毒や精神的な疾患などで
正常な判断ができず罰則を恐れないような人が加害者の場合、
保護命令違反があれば警察は加害者を逮捕してくれることが通常であるため、
逮捕してもらって刑事事件にすることでさらなる被害を防ぐというやり方もあります。
このように、保護命令は非常に効果のある手段です。
【申し立てから保護命令が出るまでの手続きはどんな感じ?】
申し立ての日または申し立てから2~3日後に、
被害者が裁判所で裁判官と面談し、
被害状況などについて事情を聞かれます。
その後、申し立てから1週間~10日くらいの間に、
裁判所が加害者を呼び出し、
事情を聞きます。
その後速やかに、
保護命令が出されるか否かが決定されます。
【保護命令を出してもらえるのはどのような場合なの?】
A暴力があった場合
B生命身体を害するという脅迫があった場合
で、
「今後、身体的暴力を振るわれて生命や身体に入内な危害を受けるおそれが大きいとき」
というのが、保護命令を出してもらうための、
理屈上の条件(「要件」といいます)です。
これ
この理屈上の条件が満たされていますよということを、
なるべく証拠を使って裁判所に説明していきます。
お医者さん関係の証拠の揃え方については過去の記事を参照してください。
その他の証拠としては、
傷や暴力の際に壊れた物の写真、加害者の言動の録音録画、
警察への相談の記録、被害者ご本人の日記やSNS上の投稿、
暴力に関するLINEやメールのやりとり、被害者の陳述書(状況を裁判所に説明する書類)、
暴力を目撃した人の陳述書、などが考えられます。
最悪、写真や録音録画のような誰が見ても暴力の事実を証明できる証拠がなくとも、
真実に基づきリアルに詳しく陳述書を作成できれば、
保護命令をもらえる可能性はあります。
ですから、「証拠がないから無理だ-」と諦めずに、
弁護士に相談しましょう。
【最後に】
過去の記事でも書きましたが、
私個人は、どんな理由があっても、
DVは絶対に許容されないという考えです。
ですから、弁護士費用の支払い方などにつきましても、
ある程度柔軟にご相談に乗らせていただきます。
いつも記事の最後に貼るのを忘れがちな私の連絡先も、
この記事にはきちんと貼っておきます。
DV被害に遭われた場合、速やかにご相談ください。