生前の相続対策はほんとに大事だな、

と弁護士になってから痛感している。

 

 

そもそも遺言があれば、

相続紛争は相当程度防止できる。

 

遺言以外にもさまざまな対策があって、

本書でいろいろと紹介されている。

 

 

経験上、紛争になりやすいのはご兄弟姉妹同士である。

被相続人(お亡くなりになった方)の配偶者さんがご存命であれば、

不思議と紛争にはなりづらいものである。

 

ご兄弟姉妹での紛争を回避すため、

ぜひとも相続争い防止のための生前対策を行っていただきたい。

 

最近筆者(わたし)は、

「65歳になったらごく簡単なものでよいから

遺言を作成しておきましょう」と提唱している。

 

早い方では60代後半から認知症の症状が出ることもあるからだ。

 

認知症の程度によっては、

遺言能力を書いていて遺言が作れないという事態もありうる。

 

 

思い浮かんだことをつらつら書いてしまった。

本書の話題に戻る。

 

本書は法的な論点はもちろん、

生命保険の活用や資産の評価額圧縮、

という法律以外のノウハウも提示している。

 

弁護士によって書かれたものであるので、

信頼性が高いのもありがたい。

 

 

欲をいえば、

こういう遺言を遺すと節税対策になる、

こういう付言事項を遺しておくと紛争防止の可能性がある、

というレベルまで具体的に遺言作成のノウハウを提示してもらいたかった。

 

筆者(おいら)もひよっこではあるが弁護士なので、

ある程度のノウハウを持ち合わせている。

そういうノウハウの答え合わせをしたいし、

未知のノウハウにも触れてみたいところである。

 

そんなところもあるので、

筆者なりの感想としては、

8/10点。

 

文責 杉並総合法律事務所 弁護士 菊地智史(東京弁護士会所属)

 

 

 

 

相続手続きの法的な論点というよりは、

論点以外の手続の進め方について、

厚く書かれた本書。

 

過去に疎遠な相続人さん同士の案件を扱い、

その際にだいぶ苦労した経験がある。

そのことを思い出して勉強のため手にとった。

 

 

論点のことは相続分野で代表的な実務書があるので、

そっちでカバーしてねという趣旨で書かれているのだろう。

 

類書であまり書かれない手続きの進め方の指南が、

本書の大きな価値であると感じる。

 

 

「書面で連絡して、お電話の連絡求めたらいいよね?」

というノウハウは条文や先例からは出てこない。

エビデンスは著者のご経験であろう。

 

文献的な知識でない経験知が、

筆者(わたくし)の最も知りたいことである。

その意味で筆者(わたくしめ)にとって非常に有用な一冊であった。

 

そして本書でしめされるノウハウは、

筆者(わたす)の過去の経験に照らして、

「そうそう、こうやったらうまくいくよね」

と共感できる部分もあれば、

「あのときこうやっていればうまくいったかも」

と反省する方向で首肯できる部分もあった。

 

いずれの角度からも優れたノウハウだと感じた。

 

 

残念なのは後半になるほど経験値に基づくノウハウが減って、

淡白な記載となってしまっていること。

 

特に調停に参加できない当事者がいる場合の

調査官調査→調停に代わる審判、

という流れを詳細に解説してほしかった。

 

そういうケースに特有のノウハウもあるのではないか。

そのあたりのニーズもあるのではないか。

筆者(わい)が個人的に知りたいだけなのか。

 

 

筆者(俺だぜ)にとっての有用性という観点の、

本書の点数は8/10点。

読んでよかったなー。

 

文責 杉並総合法律事務所 弁護士 菊地智史

祖母が亡くなった。

97歳、大往生である。


筆者の地元は納棺の際、手甲脚絆に頭陀袋と六文銭、

という昔の旅支度の格好をさせる風習である。


自分は手甲を入れてやり、

「木枯し紋次郎みたいでかっこいいね」と言ってやった。


家族、親戚、親戚同然の謎のおじさん、泣き笑いだった。

 


棺を車に積む際には、筆者も棺を抱えた。


「うっかり落としちゃっても改めて死ぬことはないから安心である」

と筆者がいうと、

叔母が「あんた落とすつもりでしょ」と筆者を叩いてきて、

それを見た弟が笑っていた。



どこかのタイミングで筆者は2〜3度、少し泣いた。


父や叔母は、祖母の遺体になにかと話しかけていた。


祖母は生前より上品な顔立ちに死化粧を施されていた。


「生前は百姓丸出しだったが死後は世田谷のご婦人に見えなくもない」と筆者がいうと、

父は「遺影をAIで加工したのではないか」と疑問を持ち、

葬儀屋さんに「AIでやったの?」と質問していた。


父子でなにをやっているのか。


庭でタバコを吸う父の背は丸かった。



改めて、相続業務の勉強を一通り復習しようと思った。

祖母の死を受けて、

人の死はできる限り厳かであってほしい、

という思いを新たにしたからだ。


いや、まだそんなにハッキリとした思いでもないのかもしれない。


婆さん、あんたに受けた恩は世間の人に返さなきゃね。

婆さんに世話になった分、俺は困ってる人を助けるよ。


といったような思いなのかもしれない。


そのうち気持ちも整理できるだろう。

筆者は大人だから、時間の流れに身を任せることを知っている。



通夜と葬儀を通して、筆者は心の中で祖母に話しかけていた。


婆さん、よくやりきったじゃねえか。

そんなに悪くない人生だったよな?

最後までよく頑張ったよ。

あんたは立派だったよ。


そんなようなことを話しかけていた。



坊さんの講話がすごくよかった。

「人は2度死ぬ」という通俗的な考え方について、

坊さんの考えを述べるものだった。

気になる方はご相談の際などに筆者にきいてみてほしい。


いや出し惜しみしたいわけではなく。

なんか文字にするのが難しい類の話なのよ。


坊さんは顔もカッコよく、声もイイ感じだった。

あんな坊さんに送ってもらって、祖母、よかったね。



祖母は、筆者が弁護士になったとき、とても喜んでくれた。

弁護士、辞められなくなってしまったな。



筆者なりに、祖母に楽しい思い出を残してやれたと思う。

その点においてあまり悔いはない。


おばあさん、さ。


おばさあさんがビールで酔っちゃったとき、

お父さんと俺であなたを両脇抱えて車まで歩いて、

俺が「アメリカで捕獲した宇宙人連行してるみたい」っていって、

みんなで爆笑したの覚えてる?

あれおもしろかったいね。



文責 弁護士菊地智史 東京弁護士会所属


祖母というか自分にとっては「婆さん」なのだが。

 

先日96歳の婆さんを見舞ってきた。

病院のベッドに横たわって意識もあまりない様子だった。

ひ孫の動画や写真を見せると声を発していた。

そのときは表情に意思の片鱗のようなものが戻った気がした。

一緒に見舞いに行った父は「ほら笑っている」といったが、

正直自分にはそこまでよくわからなかった。

 

婆さんは前日、39度台の発熱・血尿があったそうだ。

カテーテルでつながれた尿袋には、

赤っぽいオレンジの液体が溜まっていた。

 

父は、「元気になって家に帰ろう」と婆さんに声をかけていた。

父の声かけは婆さんを元気づけようとする方便ではなくて、

ほんとうにいずれ婆さんが家に帰れると信じているように見えた。

 

 

婆さんはいいところも悪いところもある普通の人間だった。

噂好きでおしゃべりで近所の人からはやかましい人間と思われていたようだ。

自分としては悪いところがそれなりに多い人間だと思っていた。

でもたしかにいいところを持っている、

確実にいいところを持っている人間だった。

ひっきりなしに近所の年寄りが婆さんを訪ねてきていた。

自分が東京に出てくる前の話だ。

自分が東京に出てから近所の年寄りたちは一人ずつ旅立った。

 

自分が夜のランニングに行こうとしたら、

「風邪ひくぞ」と偉そうに注意してきたおっさん。

自分が子供のころは庭でニワトリをシメていた。

 

はなちゃんと呼ばれていたおばちゃん。

集落の小商店でしか買い物をしたことがない。

つるっとはげた旦那さんがなくなると後を追うように旅立った。

 

この二人しか具体的に思い出せないことに気づいて愕然とする。

嘘だろあんなにたくさんの年寄りが婆さんを訪ねてきていたのに。

アポなしで。

こちらの都合など無視して。

早朝から。

こいつら朝っぱらからいかれてるのか?って思ってたよ。

なんであんなに急速に失われていくものに関心を持てなかったんだろ。

 

 

いまになって、いかれたあの生活のことを思い出す。

親戚もよく訪ねてきていた。

元役場の職員のおじちゃん。

洋品店のおじちゃん。

自動車屋のおばちゃん。

親戚じゃないが親戚づきあいをしているおじちゃん。

みんなアポなし。

こちらの都合無視。

早朝。

 

自分がさみしがりな性格になったのは、

年がら年中人が訪ねてくる実家に原因の一端があるかもしれない。

 

 

もちろんそんな田舎が嫌で東京に出て、

結局東京に定住しているわけだ。

 

MOROHAの『望郷タワー』で泣いちゃうタイプのアラフォー。

いまでも不意に『天体観測』がかかるとどうしても胸が騒ぐ。

ゴイステの叫びは自分の衝動と一致してると本気で思ってた。

Chappie『水中メガネ』には心くすぐられるよね。

無駄に桑田佳祐『祭りのあと』みたいな気分で自転車を漕いでいた。

 

 

THE HONG KONG KNIFE『CHERISHED MEMORIES』を笑うやつがいて、信じられなかった。

今でも夕方のバスを見ると悲しいって思う。

夕方のバスが悲しいくないやつがいるなんて信じられる?

 

20代になってから若い(若すぎるよバカ!)別れを2つ経験して、

SOPHIA『黒いブーツ』と宇多田ヒカル『花束を君に』がそれぞれそいつらの弔歌になった。

いまでもあいつらのことはバカ!って思う。

 

不可思議/wonderboy『pellicule』を妻の目を盗んで息子に聴かせてる。

息子はお前さんの曲を「さみしいラップ」って呼んでるぜワンダーボーイ。

あとカラオケDAMに『pellicule』が入ってたぜワンダーボーイ。

定期的にカラオケに『pellicule』が入ってないかチェックしてるやつと、

カラオケにリクエストしてるやつがいたんだぜワンダーボーイ。

 

 

そういえば。

若いころは気恥ずかしくて読んでられなかった村上春樹『ノルウェイの森』。

アラフォーが読んだら、

「わかるよ若い頃ってそうだよね?ほんとうんうんわかるわかるあっなんか食べな?ほら好きなもん注文しな?いいんだってー若い子がいっぱい食べるの楽しいんだもんー。うんほんといってることわかるー」

的にすごく親目線で共感できた。

同世代の皆様、案外、いま読み返してみるのも手ですぜ。

 

 

婆さんの記憶から話がそれてしまったけど、

このそれ方もまた婆さんの話らしいのではないか。

婆さんの話す話もとりとめがなかった。

 

いつまでも自動筆記みたいに思ったことを書き続けたい気分。

洗い物洗ったらオールディーズでも流しつつ読書して寝る。

こんな日はオールディーズを聴きたい。

グッバイジミーグッバイ。。。

ヤヤヤーヤーヤヤヤヤー(『悲しき16才』のこれ、素朴にかわいいよな)。。。

8/10点。

 

いいところともう少し頑張ってほしいところがはっきりしている本書。

 

 

いいところは、労働者からの争い方を示してくれるところ。

 

単に先例のポイントを解説するだけではなく、

当該先例が問題となった論点の争われ方を明示してくれるので、

訴訟のイメージが持ちやすい。

 

とくに特定の論点については、

訴えの利益がある争い方かどうかという点まで踏み込んでくれる。

労側でも使側でもここを端的に確認してもらえるのはありがたいと思う。

 

 

あとは論点の網羅性が高いことも素晴らしい。

使側において人事労務関係の法律問題を洗い出す際の、

チェックリストとして使ってよいレベルだと思う。

 

 

もう少し頑張ってほしいところとしては、

「予防策の提案の踏み込みがもう一歩欲しい!」

と感じさせる箇所が複数ある点。

 

たとえば懲戒処分の項目では、

懲戒処分通知書のひながたなどあるほうが親切だろう。

いまどきネットで拾えるかもしれないけれど、

やはり高名な弁護士先生が作成されたひな形は信頼性が違うと感じる。

 

このことは休職の章のように、

文書を用いた対応が提案されている章全般にいえる。

 

 

その他にも制度の見直しのみを予防策として提案されている章も複数あり、

もう少しソフトなレベルの予防策が提案されてもよいような気がした。

たとえば根本的には制度の見直しが必要な場合にも、

「速やかな見直しが必要なのはこのような場合である」

といったような記載を付け加えてあげると、

制度の見直しについての緊急性を読者が判断できるため、

親切といえるのではないだろうか。

 

弁護士はなんとなく相場的な感覚で判断できるけど、

企業の法務担当者の方々が読むことも想定すると、

親切さはできるかぎり追及されてよいと思う。

 

 

最近労側の本が続いていたので、

バランスを取る意味でも久々に使側の本を読めて、

大変勉強になりました。

 

 

テーマ別 労働紛争予防・解決の実務ポイント | 中央経済社ビジネス専門書オンライン

文責 弁護士 菊地智史 東京弁護士会所属

9/10点。

 

懲戒全般について網羅された良書。

労側も使側も労働事件を扱う弁護士必携。

 

 

前所属事務所の兄弁のご著書。

 

自分の上に労働事件のスペシャリストがいたので、

新人~ひよこの弁護士だった自分は、

いったん離婚や相続の勉強に励むことにした。

 

労働事件ではこの人に敵わないと思った。

そんな兄弁が書かれた分厚い実務書

 

 

網羅性が非常に高いことはもちろん。

本書は同じシリーズの別の書籍と比べて、

要件事実を明確に示すことが意識されている。

 

各論点につき冒頭に要件事実が示され、

その後に裁判例が列挙されるという構成なので、

様々な裁判例につき要件事実を意識して検討できる。

 

 

所々で兄弁の「労弁魂」が前面に出ており、

独自見解が顔を出すのが実務書としては難しい部分。

 

「労側の戦い方」といったような項目で、

整理されるとなおよかったのではないだろうか。

 

 

労働事件は裁判例の集積で動く部分が大きいので、

このような膨大な裁判例を網羅した書籍は本当に役に立つ。

 

このような大著を仕上げた兄弁には尊敬の念を覚えると同時に、

自分も自分の途を切り開かねばと気持ちを新たにした。

 

自分は労側でも使側でも労働事件を扱うことで、

労働環境改善の一助となりたいと思う。

 

 

自分の途は兄弁の途とは違うものになった。

 

頭上に明るすぎる太陽があることに気づいたとき、

自分は太陽より上を目指すことは悩んで悩んで諦め、

地上を吹き渡る風になることを目指すことにした。

 

 

いつかの忘年会の二次会に行く道々で、

自分のちょっとした冗談に笑ってくれた兄弁を思い出す。

 

最新テーマ別[実践]労働法実務 10 懲戒の法律実務 - 株式会社旬報社 働く、学ぶ、育てる、暮らすなどをテーマにする生活に身近な出版社です

 

文責 杉並総合法律事務所 弁護士 菊地智史 東京弁護士会所属

8/10点。

 

過去の裁判例を題材に様々な問題を解説したとってもよい本。

 

終盤が弁護士の自分にとってはあるていど知っている話だったので、

そこだけ「自分にとっては」ということで-2点させていただきました。

 

「自分にとっては」を除けば10点満点。

 

 

特によいのはやはり介護施設特有の悩みを扱った項目。

 

その中でも、利用契約解除後の損害金の話とか、

特定の家族の面会を拒絶できるかといった問題については、

あまり類書で書かれていない話なので参考になった。

 

顧問先でも起こりうる問題であり、

その意味で直接的に役に立つ可能性がある。。

 

また似たような問題について考える際の指針にもなる。

 

 

半面、介護事故や虐待といった問題については、

多大なリスクを内包する非常にシリアスな課題でもあるから、

より多くの裁判例に触れ相場観を形成しておく必要がある。

 

そのような問題を扱った実務書は複数持っているので、

この機会にまとめて初読・再読しておくのもよいかも。

 

 

しかし本書でよくわからないのは、

どういった読者層を想定しているのかということ。

 

自分はお馬鹿さんながら難しい本は頑張って読んでいるので

本書についてもそんなに支障なく読めたけど、

現場で働く人がターゲットであれば、

もう少し優しく書いてあげてもいいんじゃないかとは思った。

 

イラストなど読みやすくなる工夫はされているのが、

たとえば「○○が否定された事案」という表題を、

「○○では損害賠償請求は認められなかったケース」

ときいう書き方にしただけでとっつきやすくならないか。

 

どうだろ。

気にしすぎだろうか。

 

 

裁判例からわかる介護事業の実務 | 中央経済社ビジネス専門書オンライン

文責 弁護士菊地智史 東京弁護士会所属

10/10点。

 

定年再雇用問題の必読書。

労使問わず弁護士が備えるべき本。

 

 

この手の問題について弁護士向けの実務書が少ない中で、

まずこの手の問題についてまとまった書籍を出す、

ということ自体が現場感覚を踏まえた大英断。

 

さすが労弁の現場の第一線の先生、という印象。

 

 

そして従前の同シリーズよりも文章構成が読みやすい。

 

きちんと論点ごとに問題提起という名の結論を示した後で、

個々の裁判例を紹介して具体例を示す、

というスタンダードな構成なのだけど。

 

そうなっていない類書は意外に多いし、

そうなっていると本当に読みやすい。

 

 

この手の問題については近年重要な裁判例がいくつかあって、

そういった裁判例を網羅してくれているのもありがたい。

 

弁護士の著者でないとなかなかそこまで網羅してくれない。

 

 

労働人口の減少という観点からも高齢化という観点からも、

労働者の高齢化という流れ(というか高齢の労働者を活用する流れ)は、

今後停滞することはないと思われる。

 

今後も盛んに争われる問題だと思うので、

ぜひ数年ごとに改定していただきたいと思う。

 

 

労側としては難しい対応につき具体策の提案があるのがありがたいし、

使側としても考えながら読んで必要な対応を導くことができる。

 

労使双方にとって非常に有用な、

ある種決定版といってよい実務書。

 

 

定年・再雇用の法律実務 (最新テーマ別[実践]労働法実務 8) | 谷真介 |本 | 通販 | Amazon

文責 弁護士菊地智史 東京弁護士会所属

9/10点。

 

現場の管理者さんにとってもよい本だし、

介護事業に関する弁護士にとってもよい本。

 

 

大きく分けて、

 

契約書の内容についてのアドバイス、

事故報告書の書き方を中心とした介護事故対応のアドバイス、

苦情や利用料不払いなど日常業務のアドバイス、

この3つを扱っている。

 

 

契約書の内容についてのアドバイスの章では、

介護事業者さんにありがちな事象を想定し、

これに備える形で内容を提案する。

 

これが非常に実践的で素晴らしい。

「介護事業あるある」に沿った内容になる。

 

現場の知見と契約書レビューのご経験が合わさっているのは、

介護事業専門の弁護士さんならではだと思う。

 

 

事故報告書やヒヤリハットの書き方なども、

弁護士のアドバイスにつなげることができる内容。

 

 

また日常業務についても、

現場が判断に迷う事態への対応策が提案されており、

トラブル予防の観点から弁護士も参考すべき内容。

 

 

といったように総じて弁護士にとって学びの多い内容。

そして平易な言葉で項目立てもコンパクトに書かれており、

弁護士のように長ーい本を読むのに慣れた人でなくても読みやすいはず。。

 

この点は本当に評価したい。

現場の方は忙しくて長ーい本をじーっくり読む時間を取りづらいのが実情。

 

なので届けたい人に届きやすい形式といえる。

きちんと相手に届けるための本づくりができている。

素晴らしい。

 

 

唯一不満なのは、

懲戒処分や労働トラブルといった、

人事労務関係に関する記載がなかったこと。

 

たしかにこの手のトラブルは介護事業所に特有の現象ではない。

そして管理者や施設長が一人で判断できる事項ばかりでもない。

 

そしてこの問題を扱うと大きなボリュームを割かずにおくのは難しい。

 

そう考えるとこの不満については、

「別の本で勉強すべき事項だ」という反論が成り立つだろう。

 

といった感じでとてもよい本でした。

 

管理者・施設長に教えたい介護事業所の“現場法務” | 中央経済社ビジネス専門書オンライン

 

文責 弁護士菊地智史 東京弁護士会所属

8/10点。

ただし弁護士が読むとこの点数だけど、

企業の社長さんが読むには10/10点。

 

 

外国人雇用の基本のキ、といった趣旨の本。

 

弁護士向けというようりは題名どおり、

小さめの会社の社長さん向け。

 

 

弁護士向けに書かれた本ではないので、

手続きや法的論点の記載は最小限。

 

というかほとんどないといってもよい。

そういう部分は行政書士さんや社労士さんに頼む、

という前提で記載されている。

 

のでそのあたりは別の書籍で学ぶ必要アリ。

 

正直、少しくらいはそのあたりも書いてもらえたらな、

とワガママボーイの当職は思った。

 

 

とはいえ内容は実践的なモノで、

新しく始まる育成就労制度の入り口は抑えられるし、

 

「こういうところに注意しよう」とったような、

法的知識以外の実践的な知恵を多く学べる内容。

 

その意味で社長さんのための本として実践的。

 

文責 弁護士菊地智史 東京弁護士会所属