8/10点。

 

過去の裁判例を題材に様々な問題を解説したとってもよい本。

 

終盤が弁護士の自分にとってはあるていど知っている話だったので、

そこだけ「自分にとっては」ということで-2点させていただきました。

 

「自分にとっては」を除けば10点満点。

 

 

特によいのはやはり介護施設特有の悩みを扱った項目。

 

その中でも、利用契約解除後の損害金の話とか、

特定の家族の面会を拒絶できるかといった問題については、

あまり類書で書かれていない話なので参考になった。

 

顧問先でも起こりうる問題であり、

その意味で直接的に役に立つ可能性がある。。

 

また似たような問題について考える際の指針にもなる。

 

 

半面、介護事故や虐待といった問題については、

多大なリスクを内包する非常にシリアスな課題でもあるから、

より多くの裁判例に触れ相場観を形成しておく必要がある。

 

そのような問題を扱った実務書は複数持っているので、

この機会にまとめて初読・再読しておくのもよいかも。

 

 

しかし本書でよくわからないのは、

どういった読者層を想定しているのかということ。

 

自分はお馬鹿さんながら難しい本は頑張って読んでいるので

本書についてもそんなに支障なく読めたけど、

現場で働く人がターゲットであれば、

もう少し優しく書いてあげてもいいんじゃないかとは思った。

 

イラストなど読みやすくなる工夫はされているのが、

たとえば「○○が否定された事案」という表題を、

「○○では損害賠償請求は認められなかったケース」

ときいう書き方にしただけでとっつきやすくならないか。

 

どうだろ。

気にしすぎだろうか。

 

 

裁判例からわかる介護事業の実務 | 中央経済社ビジネス専門書オンライン

文責 弁護士菊地智史 東京弁護士会所属

10/10点。

 

定年再雇用問題の必読書。

労使問わず弁護士が備えるべき本。

 

 

この手の問題について弁護士向けの実務書が少ない中で、

まずこの手の問題についてまとまった書籍を出す、

ということ自体が現場感覚を踏まえた大英断。

 

さすが労弁の現場の第一線の先生、という印象。

 

 

そして従前の同シリーズよりも文章構成が読みやすい。

 

きちんと論点ごとに問題提起という名の結論を示した後で、

個々の裁判例を紹介して具体例を示す、

というスタンダードな構成なのだけど。

 

そうなっていない類書は意外に多いし、

そうなっていると本当に読みやすい。

 

 

この手の問題については近年重要な裁判例がいくつかあって、

そういった裁判例を網羅してくれているのもありがたい。

 

弁護士の著者でないとなかなかそこまで網羅してくれない。

 

 

労働人口の減少という観点からも高齢化という観点からも、

労働者の高齢化という流れ(というか高齢の労働者を活用する流れ)は、

今後停滞することはないと思われる。

 

今後も盛んに争われる問題だと思うので、

ぜひ数年ごとに改定していただきたいと思う。

 

 

労側としては難しい対応につき具体策の提案があるのがありがたいし、

使側としても考えながら読んで必要な対応を導くことができる。

 

労使双方にとって非常に有用な、

ある種決定版といってよい実務書。

 

 

定年・再雇用の法律実務 (最新テーマ別[実践]労働法実務 8) | 谷真介 |本 | 通販 | Amazon

文責 弁護士菊地智史 東京弁護士会所属

9/10点。

 

現場の管理者さんにとってもよい本だし、

介護事業に関する弁護士にとってもよい本。

 

 

大きく分けて、

 

契約書の内容についてのアドバイス、

事故報告書の書き方を中心とした介護事故対応のアドバイス、

苦情や利用料不払いなど日常業務のアドバイス、

この3つを扱っている。

 

 

契約書の内容についてのアドバイスの章では、

介護事業者さんにありがちな事象を想定し、

これに備える形で内容を提案する。

 

これが非常に実践的で素晴らしい。

「介護事業あるある」に沿った内容になる。

 

現場の知見と契約書レビューのご経験が合わさっているのは、

介護事業専門の弁護士さんならではだと思う。

 

 

事故報告書やヒヤリハットの書き方なども、

弁護士のアドバイスにつなげることができる内容。

 

 

また日常業務についても、

現場が判断に迷う事態への対応策が提案されており、

トラブル予防の観点から弁護士も参考すべき内容。

 

 

といったように総じて弁護士にとって学びの多い内容。

そして平易な言葉で項目立てもコンパクトに書かれており、

弁護士のように長ーい本を読むのに慣れた人でなくても読みやすいはず。。

 

この点は本当に評価したい。

現場の方は忙しくて長ーい本をじーっくり読む時間を取りづらいのが実情。

 

なので届けたい人に届きやすい形式といえる。

きちんと相手に届けるための本づくりができている。

素晴らしい。

 

 

唯一不満なのは、

懲戒処分や労働トラブルといった、

人事労務関係に関する記載がなかったこと。

 

たしかにこの手のトラブルは介護事業所に特有の現象ではない。

そして管理者や施設長が一人で判断できる事項ばかりでもない。

 

そしてこの問題を扱うと大きなボリュームを割かずにおくのは難しい。

 

そう考えるとこの不満については、

「別の本で勉強すべき事項だ」という反論が成り立つだろう。

 

といった感じでとてもよい本でした。

 

管理者・施設長に教えたい介護事業所の“現場法務” | 中央経済社ビジネス専門書オンライン

 

文責 弁護士菊地智史 東京弁護士会所属

8/10点。

ただし弁護士が読むとこの点数だけど、

企業の社長さんが読むには10/10点。

 

 

外国人雇用の基本のキ、といった趣旨の本。

 

弁護士向けというようりは題名どおり、

小さめの会社の社長さん向け。

 

 

弁護士向けに書かれた本ではないので、

手続きや法的論点の記載は最小限。

 

というかほとんどないといってもよい。

そういう部分は行政書士さんや社労士さんに頼む、

という前提で記載されている。

 

のでそのあたりは別の書籍で学ぶ必要アリ。

 

正直、少しくらいはそのあたりも書いてもらえたらな、

とワガママボーイの当職は思った。

 

 

とはいえ内容は実践的なモノで、

新しく始まる育成就労制度の入り口は抑えられるし、

 

「こういうところに注意しよう」とったような、

法的知識以外の実践的な知恵を多く学べる内容。

 

その意味で社長さんのための本として実践的。

 

文責 弁護士菊地智史 東京弁護士会所属

7/10点。

あくまで主観的なお役立ち度の点数。

客観的にはとってもよい本ですから。

 

 

なにがいいって網羅性。

 

おそらく企業の法務部の方が、

高年齢者雇用安定法全般について、

概略を把握するのに最適。

 

コンパクトなボリュームのわりに、

法的な論点から保険の話まで、

必要な内容が網羅されている。

 

 

弁護士にとっては法的な論点が必須情報であり、

保険の話などは参考程度に目を通しておけば足りる。

 

そのため主観的には裁判例の紹介などに、

もう少しスペースを割いてもらえるとありがたかった。

 

正直後半の保険の話は、

主には社労士さんマターの話で、

さらっと流し読みで確認した程度。

 

 

若干古い本なので、

名古屋自動車学校事件のような、

直近の裁判例は掲載されていない。

 

このあたりは新しい文献で別途確認する必要アリ。

 

 

とはいえ重ね重ね、

精度の概略を把握するには適した本。

 

過去に買ってあったものを改めて通読したのが今回の読書だが、

通読する価値があったなーとしみじみ思っております。

 

 

ところで高年齢者雇用安定法の略称ってなに?

「高安法」でしょうか?

 

 

仕事きっかけで労働法の本の記事を書いてから、

謎に「労働関連法規を学びなおす」キャンペーンに突入しております。

 

 

早わかり高年齢者雇用安定法 / 平井 彩/田中 朋斉【著】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア

 

文責 弁護士菊地智史 東京弁護士会所属

9/10点。

大変有用なお勉強でした。


14集を読んだ際にも思ったことだが、
結論→概要→判断→解説、という構成が親切。

最初に結論を把握しておくと読み進めるのが楽。
労側の先生のご著書もこういう構成にしてほしい。


高齢者雇用安定法絡みの裁判例が二例掲載されており、
なるほど時宜を捉えた選定だと思った。


他方で集団的労使関係の分野では、
組合の不法行為絡みの裁判例が掲載されており、
このあまりは使用者側の先生のご著書「らしさ」か。

組合が読んでおくべき価値ある裁判例といえる。

昔の裁判例では様々な事例があったけど、
改めて最新の事例はコレ、といった感じで、 
メルクマールを更新できるとよい。


コロナ関連の裁判例が掲載されていたのも印象的。
大打撃を受けたであろう業界のケースで、
労働者も使用者も大変だったろうと思いを致す。


次の版も出たらまた購入して勉強したい。

10/10点。

労働者側の立場で書かれた、
休職に関する法律問題の本。


実務家によって書かれているので、
実践的な記載が多数ある。

訴訟をにらんだ要件事実に基づく記載や、
労働審判と訴訟どちらの手続きを選択するかの基準など、
弁護士としては非常に参考になる。


また情報の網羅性も素晴らしく、
休職問題についての辞書のように位置付けできる。


ただしリーダブルかというとそうではない。

たとえば。

基本的に結論先出しの読みやすい記載ではなく、
問題提起→検討→結論→補足という、
論文のような記載方式になる。

これは、弁護士でないと読みこなせないのでは?


また、要件事実的記載についても、
ブラックダイアグラムのような図式化の工夫はなく、
各要件事実の項目の末尾に、
主要事実を基礎付ける証拠の例を端的に挙げる、
といったシステマティックな工夫もない。


最近の労組は若い組合員が中心的に活動しているところも多い。
できればそのような組合員も読みこなせるよう、
リーダブルにするための工夫が欲しいという気がする。


いずれにせよ「休職実務必携」のような位置付けで、
労使どちらの側の弁護士も書棚に置くべき良書。


https://www.junposha.com/smp/book/b652458.html


弁護士 菊地智史 東京弁護士会所属

10/10点。

最近、自分なりの点数をつけるのもどうかなと思う。
自分にとっての有用性という主観を点数に表しているので、
誤解を生んでしまうこともあるかもしれない。

書き方など気をつけていきたいと思う。


本書は弁護士向けのノウハウ本。
なので当然自分にとって有用な内容。


言語化しにくい実践的な暗黙知について、
なるべく先例を根拠に言語化して整理する、
という姿勢が非常にありがたい。

ハラスメント案件などは労使双方の側で
それなりに経験してきたつもりの自分でも、
新たな発見が多く見られた。

使用者側としてはハラスメント対応マニュアルの改訂を進めたい。
労働者側としては使用者に求めるあるべきハラスメント対応の
チェックリストを頭の中に作っておく形で整理しておきたい。


優れた労働問題実務本の特徴だけど、
労使どちらの側に立っても有用な本。


唯一未払い残業代請求については、
労使どちら側でも対応ノウハウがほぼ確立しているので、
本書を通じた新たな発見の数は、
他の累計に比べると少なくなってくる。

それでも半年を目処に交渉することなど、
労側を中心にやっていた人間が使側に立つと
見落としかねない事項を言語化してくれてありがたい。


主観的良書。
6/10点。

前半はコミュニケーションの具体的な手法が書かれていて参考になる。
そして精神論的な記載もまた勉強になる。


前者の具体的な手法については、
「ホウレンソウの手順」「命令解説援助の手順」が印象的。

ホウレンソウや業務指示のやり方を定式化し、
よきホウレンソウの再現可能性を高めるという試み。

こういうのはキーエンスっぽい気がする。
著者はキーエンス出身。


後者の精神論については、
「コミュニケーションには時間と労力をかける」という論が印象的。

コストをかけてうまくいかせるのが、
職場ないのコミュニケーションだという。

これもキーエンスっぽい発想だと思う。

コミュニケーションは偶然に頼らず、
きちんと努力して成功に導くもの。
こんな意識を持つだけで職場環境が良好になるだろう。


惜しいのは、後半がべったり精神論に終始してしまっている点。
部下のタイプ別対策とか、根拠がよくわからない話も出てくる。
前半は学問的知見を一応踏まえていたのに。


前半から得られる気づきが大きなものであるため、
後半にはある程度目を瞑って評価したい。


とか書いていたら立派な改訂版が出ておりました。
みなさんそっちをお読みになってくださいませ。

8/10点。

 

50個程度の裁判例が掲載されており、

その年度の重要な裁判例が網羅されている。

 

毎回判例雑誌をくまなく読むのは結構大変なので、

このような形でまとめて把握できるのはありがたい。

 

 

構成もよかった。

 

各裁判例の紹介ページの冒頭で結論が明示されており、

事実経緯や判断につき読んでいくガイドラインになっている。

 

これがないとベターっと熟読しないといけなくて、

読み進めるのがしんどいときもある。

 

そんな日も、ときには、ある。。。

 

 

多少の恨み言を申し上げると、

担当弁護士の解説で素晴らしい示唆が散見されるので、

もっと解説に分量を割いてもらいたい。

 

実務家の視点でいいたいこと、

もっとたくさんあると思うし、

実務家としてもっと知りたいと思う。

 

 

労働者側の弁護士も同じような書籍、

年度ごとに作ってくれたらいいのに。

 

労働者側でどのような点に注意し、

どう考えるかということも知りたい。

 

労働紛争の宿命として使用者側に証拠資料が偏在するので、

労働者としてどのような証拠の確保を意識したらよいのか、

そんな観点から解説したらよいと思う。

 

 

弁護士が自分なりに労働裁判例を勉強するのによい本。

使用者側ではもちろん労働者側でも使い勝手がよい。

 

最新版は第5集なので、

こちらもいずれ読んで勉強したい。

 

経営側弁護士による精選労働判例集 第14集|書籍・DVDオンラインショップ|労働新聞社

 

文責 杉並総合法律事務所 弁護士 菊地智史

東京弁護士会所属