小説「純愛小説」 篠田節子 著
出版社に20数年勤める香織は数年前の純愛ブームを仕掛けた編集者。
そのきっかけは長年の友人である柳瀬から「小説だって商品だ。今、世間で受けそうな題材を見極め、凡庸な作家の才能を上手く料理するのが編集者の仕事だ。」と彼に言われれたからです。
そんな彼が妻から過去の女性問題で離婚を言い渡されました。相談を受けた香織は恩返しのつもりで妻の誤解を解くよう画策します。
が、しかし自体は逆の方向に・・・
浮気が絶えなかった夫が家庭人になった理由は子供の病気を機に夫が改心したと思っていた妻。実は死んだ女性に操を立てていたのだと、自分の夫が過去に純愛していたとストーリーを作り上げてしまいます。
香織は彼の妻が純愛にはまっていたことを知っていたが、フィクションの世界である永遠の愛というものを信じて、実生活に当てはめてしまったことに驚き後ろめたい気持ちになります。
女ってどこか永遠の愛というものに対して憧れというか信じたいという気持ちが強いんですよね。
でもイギリスのチャールズ皇太子とカミラ夫人だって純愛だけど、ほとんどの人が故ダイアナ元妃に同情して誰も美しい物語にしたがらない。確かにこちらは求めてないしんだよねえ。
魅力的とは言いがたい存在だからでしょうか・・・
世間が好むのは純愛、という愛のあり方よりも純愛をしている主体が美しいかどうかなんじゃないかしらん。
表題作他3編収録されています。