先のブログで超困難症例の妊娠について書きましたが、子宮内膜症の患者様に超困難症例の方が多くおられる印象を受けます。

 前回の症例は、いわゆるチョコレート嚢胞の特殊な症例の方でしたが、子宮腺筋症の方で妊娠困難な方も多くおられます。

 子宮内膜症にはいろいろなケースがあります。卵巣の中の子宮内膜症では、卵巣の中に月経血と同じような血液がたまってチョコレート嚢胞ができてしまいます。この場合は小さければ大きな影響は与えません。大きくなると処置が必要な場合があります。個別ケースについては主治医とご相談ください。

 子宮内膜症の中で、子宮の筋肉の中に病巣が散らばっているのが、子宮腺筋症と呼ばれる、子宮内膜症の子宮型と呼ばれるものです。人によっては子宮自体がかなり大きくなります。チョコレート嚢胞と同時に存在することもあります。子宮腺筋症は手術が難しく、手術なしで治療することが多くなります。

 子宮腺筋症の良い点は、うまく妊娠が成立すれば、妊娠継続は可能です。腺筋症子宮であっても子宮が妊娠により柔らかくなり妊娠進行に伴い大きくなってくれるようです。

 

 子宮腺筋症の体外受精での問題点は、子宮が大きくなり、そのため卵巣の位置が遠くなり、採卵が難しくなったり、子宮内膜が引き延ばされて、胚移植が困難になったりします。

 

 今回妊娠された患者様は、子宮腺筋症のため採卵困難かつ胚移植困難の患者様でした。20回近くの胚移植の末に、これを最後の胚移植と決め、胚移植を受けられたところ、妊娠されました。

 

 諦めずに頑張られた患者様に敬意を表したいと思います。

 

 わたしの経験上、子宮腺筋症の場合は、なんとか、あらゆる手を尽くして(個々のケースで方法は異なります)妊娠まで進めば、出産は可能だと考えています。

 過去にも、大きなチョコレート嚢胞にドッチボールのような子宮(大げさな言い方ですが、そのような印象を受けました。語弊があればすみません。)の患者様で2人妊娠出産されている方もおられます。もちろん、双子じゃないです。お一人出産されて、二人目を希望され(できるかなと心配しましたが)再度妊娠され、お二人目を出産されました。

 

 諦めずに頑張る。可能性があれば、これも一つの方法だと思います。

 そうすれば、結果にかかわらず、結果を受け入れることができるのではないでしょうか。