今年の体外受精:保険で最善の治療を! | 不妊治療クリニック院長の福田愛作のブログ

不妊治療クリニック院長の福田愛作のブログ

大阪府東大阪市にあるIVF大阪クリニックは不妊治療専門クリニックです。「心と身体を癒す医療」をテーマとしています。

 今年の体外受精について私が考えることは、健康保険で今までの治療成績に勝る最高の治療をと考えています。

 先にも書きましたように、保険適用の体外受精が始まってから、当院では妊娠率が向上しましたが、全国的にも向上していると思います。一部の施設では「自費の治療が使えないから十分な治療ができない」などというようなことを言っていますが、わたしはそれは事実だとは思っていません。

 私の信念は、健康保険の範囲で十分な治療ができる、というものです。保険で十分な治療ができないと言われる施設は、体外受精の基本的な部分を100%の効率で出来ていないから、そうなるのだと思います。

 もちろん、そう言う私も100%の効率ができているわけではないと思います。100%は神様しか出来ませんから。

 しかし、100%正しくできれば、自費の余分な検査や治療は必要ないと思います。基本的な部分がおざなりになっていれば、その部分を補うために余分な検査や治療操作が必要になってくると思います。

 それでなくても、孵化補助術や特殊な移植用培養液など海外ではスタンダードに使われないような技術や培養液が、日本では保険適用とされています。これで十分ではないでしょうか。それ以外に、海外では使われていない、もしくはほとんど使われない、技術や操作が日本では先進医療として認められています。これ以上に何を自費として加えたいのか、わたしには理由が分かりません。日本で頻繁に使われている着床検査の一部は、海外ではその効果が否定されています。

 

 何度も書いているように、体外受精や不妊治療で大切なのは、詳しく患者様の病態を問診する(初診時の質問事項の大切さ)、正しく患者様の状態を評価する(いわゆる診察:子宮の状態、卵巣の状態など器質的な部分)、患者様の要望を正しく理解する(どの治療から、どのようなテンポで進めてゆきたいか、何を希望しないかなど)、患者様に合った卵巣刺激を行う(刺激法選択の重要性、または刺激をしない)、快適で正確な採卵(最大個数の卵子を採取し、副作用を最小限にとどめる)、最高の培養環境(正確で迅速な検卵、最適な授精環境、最適な培養:これは高価な機器を用いることではない)、丁寧な胚移植(胚に優しい、人に優しい、短時間で終わる)を行うことに尽きると考えています。

 

 これこそが調和のとれた体外受精だと思います。最高の技術で、経済的負担は適切に、そして、患者様に笑顔をもたらす、このような体外受精をめざします。今年もよろしくお願いいたします。