なぜ体外受精には卵巣刺激が必要? | 不妊治療クリニック院長の福田愛作のブログ

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 体外受精では排卵誘発剤による卵巣刺激が必要となります。自然妊娠では、何もしなくても妊娠するのに、どうして体外受精では排卵誘発剤を使うかご存知ですか。

 自然妊娠では、自然に排卵される1個の卵子で妊娠が成立します。通常、女性は左右どちらかの卵巣から1個の卵子しか排卵されません。しかし、体外受精では卵子を体外に取り出して、受精や胚培養を行うためどうしても効率が悪くなります。そこで、安全策として、より多くの卵子を取り出して、受精し分割した胚の中で、より良いものを(グレードの良いもの)胚移植に用いて、妊娠率を挙げようとします。ですから、外からゴナドトロピンと呼ばれる排卵誘発剤を注射します。通常体内では卵子1個分のゴナドトロピンしか分泌されないのですが、複数個の卵胞を発育させることができる多量のゴナドトロピンを注射することで、複数個の卵胞を発育させ、結果としてより多くの卵子が得られることになります。

 このような目的で、月経周期の3日目から注射を開始します。この注射の打ち方にロング法やアンタゴニスト法などの方法があります。ただし、元々の卵胞が少ない(AMHの値が低い場合など)方では、いくら多量のゴナドトロピン注射を投与しても、多くの卵胞は育ちません。注射を多量に打てば、誰でも多くの卵子が採れるわけではありませんので、その辺は知っておいてください。逆に、卵胞の多い方にあまり多量の注射を打つと、卵巣過剰刺激になりますので注意が必要です。

 

 卵巣刺激、簡単なようでなかなか難しいのです。個々の患者様に合わせた工夫が必要です。