「直向き」とは「ひたむき」の漢字です。私は「ひたむき」にという響きが好きで、その意味と合わせて、今年の私の理念にしました。

 「ひたむき」をネットで調べてみると以下のように説明されています。(一部改変)


 直向きとは、「1つの物事に一途に打ち込むさま、忍耐強く心を向けるさま」という意味の言葉です。読み方は「ひたむき」。「直向きな人」や「直向きに努力を続ける」のように使われます。好意的なイメージであり、人を褒めるときなどに良い意味で使われる言葉です。


 直向きは「表外読み」

 「直向き」の「直」を「ひた」という読みは、実は常用漢字表に記載されていません。このような読み方を「表外読み」といいます。常用漢字表とは内閣によって出された「一般の社会生活において現代の国語を書き表すための目安」です。あくまでも目安なので、常用漢字表にはない表外読みであっても間違いというわけではありません。

「春雨」の「雨(さめ)」や「滑稽」の「滑(こっ)」なども表外読みのひとつです。 このように、常用漢字表に読み方が記載されていなくても、日常生活ではよく登場する言葉も多くあります。

 「直向き」のように「ひた」と読むのは常用漢字表にない表外読みですが、実は同じ読み方をするものはいくつかあります。他の言葉もあわせてしっかりと「直(ひた)」という読み方を覚えれば、難しい「直向き」などもすんなりと読めるようになるでしょう。 次に「直(ひた)」と読む言葉をご紹介します。

 直走る(ひたはしる)です。「直走る」とはまっすぐ目的に向かって走ることや、一途に頑張ることを指す言葉です。「ひたはしる」と読みます。

直向きと同じように「直(ひた)」という字は一途にまっすぐ打ち込む様子を表現していますね。小説などで目にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。ただ「走る」と言い切るよりも一生懸命でまっすぐなさまが伝わる言葉です。

ひたすらに走ること、を表した言葉ですが、「ひたすら」を漢字で書くと「只管」となります。「直向き」「直走る」という字に使われている漢字を知ると意外なように思われますが、「直(ひた)」の字は使われていません。余談ではありますが、これは座禅の用語(中国語)である「只管」を日本語訳した「ひたすら」が読みとして使われているからです。すなわち、曹洞宗を開祖した道元は日本の僧で、中国に渡って禅を学び日本に伝えました。道元の坐禅である「只管打坐(しかんたざ)」が「只管」の由来になった言葉とされています。背筋を伸ばして身体を真っ直ぐにすることで、心が真っ直ぐになることにつながるのが坐禅です。「只管打坐」には「ただひたすらに坐る」という意味があり、坐禅によって体と心が1つになることを表しています。なにか分かるような気がしますね。

 一生懸命な様子を指していても「ひた」と呼ぶものすべてが「直」という漢字に当てはめられているわけではないので注意しておきましょう。

 以上です。

 

 今年の理念を「ひたむき」としたお陰で、新しい国語や雑学の知識が増えました。これも、不妊治療にひた走る姿勢に役立つと思います。