「健康な女性の「卵子凍結」1135件 がん患者らの“医学的”卵子凍結の8倍に」と、いわゆる社会的卵子凍結についてのニュースがテレビで大きく報道されていました。

 

 報道の内容です。(一部分かりやすいように追加)

 女性の卵子を保存する「卵子凍結」を、将来に備えて健康な女性が行う例が多いことが学会の調査で初めてわかりました。調査は、健康な女性の卵子凍結の支援を検討する東京都の依頼で、日本受精着床学会が行いました。都内では、回答があった29の不妊治療施設のうち17か所で卵子凍結が行われていました。

 そして、去年1年間、がん患者が治療の影響を避けるために行う「医学的卵子凍結」(妊孕性温存と呼ばれる)が136件だったのに対し、健康な女性が将来に備える「社会的卵子凍結」は1135件と、8倍以上にのぼりました。さらに、「社会的卵子凍結」で保存した卵子で体外受精を行ったすべての施設で、妊娠の実績がありました。

 調査を行った日本受精着床学会の産婦人科医師は──

「東京ではもう社会的卵子凍結が実際に相当数行われている。予想を超える実施数で、正直驚いた」と。

 働く女性の出産・子育ての体制が整わないなど社会の問題を指摘しました。

「将来、子どもは絶対ほしいといった時のニーズとして、緊急避難的に(社会的卵子凍結が)行われるのはやむを得ない対応」また「卵子は老化するため、若い時の卵子を保存しておく必要がある、など生殖の知識を学ぶことも重要」だと話しています。

 以上がニュースの内容です。

 

 当院でも社会的卵子凍結を希望される患者様は一定数おられます。

 若い方もおられるのですが、40歳前後の方もおられます。皆様に知っておいていただきたいことは、卵子単独より胚(受精卵)で凍結する方が、融解後の生存率ははるかに高くなります。胚の融解後の生存率は90%以上なのですが、卵子の融解後の生存率は0%~90%と非常に不安定です。お守りのように卵子凍結をするのも良いのですが、施設によってはかなりの費用になります。凍結費用だけではなく、凍結を継続する費用がばかにはなりません。社会の構造がどうだとか、経済状態がどうだとか、いろいろの理由がつけられていますが、私の考えでは、現在の若者の決断力がなく、問題を先送りにしているような気がします。あくまでも私の考えですが。

 人生、決断が大切です。きっと結婚でもそうだと思います。現状になれてしまうと、なかなか次のステージに踏み切れないのだと思います。

 卵子凍結、一見ファンタジーに見えますが、将来、卵子を融解した時の現実は、そんなに甘いものではありません。