日本産科婦人科学会が「米国最高裁の中絶禁止」に抗議声明 | 不妊治療クリニック院長の福田愛作のブログ

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 日本産科婦人科学会が「米国最高裁の中絶禁止」に関する決定に対し抗議声明を出しました。

 声明文は以下のようになっています。(原文のまま)

 

声明 : 米国最高裁の「ロー対ウェイド」判決を覆す判断に抗議する 

 2022年6月26日、女性の人工妊娠中絶の権利を認めた1973年の「ロー対ウェイド」判決を覆す判断を、アメリカ合衆国連邦最高裁判所が下しました。アメリカでは女性が人工妊娠中絶を受ける権利およびその実施可能期間が州法で定められていますが、この度人工妊娠中絶を禁止する法律を合憲とする判決が下されたことにより、ケンタッキー、ルイジアナ、アーカンソー、サウスダコタ、ミズーリ、オクラホマ、アラバマの各州では、人工妊娠中絶ができなくなります。今後他の州でも中絶禁止法が成立するとみられており、経済力のある女性は州や国を越えて移動し、移動できない女性は人工妊娠中絶を受ける権利を奪われることになります。妊娠・出産は時に母体の生命を危険にさらすものであり、女性が出産を望まない場合、人工妊娠中絶の禁止は女性が社会生活・健康や生命を失うことをも強制しかねないものです。すべての人が望むタイミングで望む数だけ子をもつことを保証するSRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ:性と生殖に関する健康と権利)は、基本的人権の一つです。希望するすべての女性が安全で質の高い人工妊娠中絶を受けることができることは SRHRの重要な一部であります。我々は女性の健康を守るプロフェッショナルとして、世界の全ての女性が自由意思で人工妊娠中絶を選択できることが保障されることを求め、米国における女性の人権侵害に断固反対します。

 以上です。

 

 日産婦の言わんとすることは分からなくもないのですが、他国の国内問題にこのような声明を出すことの意味が分かりません。

 そんなことを言えば、日本国内でPGT-Aの開始が米国より10年以上も遅れたこと、PGT-Mの厳重な制限、卵子提供による体外受精を認めない、などなど、日本の女性のリプロダクティブライツの方がはるかに侵害されていると思います。また、現在、お膝元の日本で、日産婦に所属せず自由にPGTを行おうとする施設に対する規制を実施するための、自らの方策を放棄し国に泣きつく、など。他国のことに抗議をする余裕などないと思います。そんなことよりも、国内の生殖医療現場の混乱を、いかに収めるかに集中する必要があると思います。この国の生殖医療はどこに向かうのでしょう。混とんとしています。