着床前診断、対象拡大へ 成人後に発症する病気も、と日本産科婦人科学会が本日6月26日に発表しました。

 

記事の内容です。(一部改変)

 受精卵の段階で遺伝情報を調べ、重い遺伝病にならない受精卵を子宮に戻す「着床前診断」について、日本産科婦人科学会(日産婦)は、対象を広げる方針を決めました。成人になるまでに命を落としかねない病気などに限ってきましたが、条件をつけて成人後に発症する病気も認めることにします。審査の手続きも一部変更する予定です。

 26日の定時総会後の会見で明らかにしました。学会内で今後、規則の改定や詳細な運用方法について議論を進める予定です。

 着床前診断は、体外受精させた受精卵から細胞の一部を採って、遺伝病の有無を判別する治療法です。妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる出生前検査(新型出生前診断)とは異なり、受精卵の段階で調べる形になるため、必ず体外受精を必要とします。病気や障害のある人の排除につながらないかとの懸念もあります。

 日本では1998年に日産婦がルールを示し、「重篤な遺伝病」に限って導入。成人になるまでに人工呼吸器が必要となるなどの重い病気が対象とされ、2015年度までに120件が認められました。神経の難病デュシェンヌ型筋ジストロフィーなどが多いです。2019年に遺伝性の目のがん「網膜芽細胞腫」の患者が申請。失明のおそれはあるが、命にかかわることはまれで、今回の議論のきっかけになりました。

 日産婦の方針では、「成人になるまでに」の前に「原則」をつけ、成人後に発症する病気も対象とすることになります。そのうえで、「現時点で有効な治療法がない」「高度で体への負担が大きい治療が必要になる」という条件をつける予定です。具体的な病名は示されていませんが、遺伝子の変異による病気は8千種類以上あると考えられ、英国では遺伝性の乳がん・卵巣がんなど、600種類以上が対象となっています。

以上です。

 

 当たり前のことです。日本産科婦人科学会では、ご夫婦のどちらかに遺伝病があり、なおかつお子さんの状態が重症(ご両親はそう考えます)であっても「亡くなっていないではないか」「補助することで生活できるじゃないか」「その程度では重篤とは言えない」などとのコメントを付け、着床前診断の実施を拒んできました。

 「網膜芽細胞腫」についても「目が見えないだけで、生活できるじゃないか」と重篤ではないとの判断で、着床前診断を実施させてくれませんでした。重篤な遺伝病が科学的に診断されていれば、患者様が希望すれば、着床前診断を受けるのは患者様の権利だと思います。

 重篤かどうかは、本人やご両親、また周りの人々の判断(評価)ではないでしょうか。日産婦の委員の医師たちが多数決で決めることではないと思います。着床前診断を、必要のある患者様が希望すれば、いつでも受けられる日が来るのを待ち望んでいます。やっと、一歩近づいたように思います。