記憶に残る症例(当院最多採卵症例) | 不妊治療クリニック院長の福田愛作のブログ

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大阪府東大阪市にあるIVF大阪クリニックは不妊治療専門クリニックです。「心と身体を癒す医療」をテーマとしています。

頑張られた例として時々患者様にお話しする症例です。当院ではじめての妊娠までにおこなった採卵回数の、その時点での最多回数症例でした。30歳代後半の患者様で旧クリニック時代に治療を受けられていた方です。刺激周期で卵子は採れるのですが、卵子の質が悪く、時には顕微授精すらできないこともありました。ある時は採卵後に、腹腔内出血を起こされ地元の病院(他府県の方)に数日入院されたこともありました。胚移植ができないこともたびたびありました。20回目の採卵を過ぎたころに、医局の会議で、そろそろあきらめていただくことも考えてもらおうか、などと話し合っていました。ところが、患者さん自身は意気軒昂で「また頑張ります」といたって元気でした。そんな時、24回目の採卵を行い、お世辞にもきれいと言える胚ではなく、かろうじて胚移植できる程度のグレードの胚を移植しました。ところがです、めでたく妊娠され元気なお子様を出産されました。この方を経験してから、我々は、ただ回数が多いからとか、胚の質が良くないから、と言って、患者様に「あきらめた方がいいのでは」と言うことを止めることにしました。簡単にあきらめてはいけないという教訓をを得た症例です。第一子出産後一年程して、この患者様は第二子を希望し来院され、再度治療をおこないました。驚くなかれ、お二人目は一回の体外受精で見事妊娠出産されました。いつ妊娠されるかは「神のみぞ知る」を実感した症例です。