不妊治療クリニック院長の福田愛作のブログ

不妊治療クリニック院長の福田愛作のブログ

大阪府東大阪市にあるIVF大阪クリニックは不妊治療専門クリニックです。「心と身体を癒す医療」をテーマとしています。

 日本の生殖医療では、PGT-Aから始まり卵子提供、精子提供体外受精、とできないものがいっぱいあります。

 その中で、絶対にできない(上記のものはアンダーグラウンドで実際は実施されています)ものがあります。

 それは、代理出産(代理母とも呼ばれます)だと思います。

 みなさま、代理出産で思い浮かぶのは、高田延彦、向井亜紀ご夫妻のストーリーではないでしょうか。

 向井さんが子宮がんのため子宮全摘をされ、卵子はあるけれど受精卵を戻す場所(子宮)がないという状況でした。

 日本では代理出産ができないということで米国に渡られ、米国人の女性が妊娠出産され、その子を日本に連れて帰り、日本で養子縁組をされました。もちろん、そのお子さんはご夫婦のお子さんですから、養子縁組であっても、生物学的にはご夫婦の実子です。向井さんご夫婦は、ご夫婦の受精卵を代理母に産んでもらわれたということです。

 日本では代理出産は禁止されています。出産には危険を伴うので、他の女性に有料でお願いすることは、やってはいけない。となっているのです。ところが、そんな危険なことであっても、海外の女性であればOKです。これって倫理的におかしいと思われませんか?もしそんなに危険なことなら、海外で行うことも禁じるべきなのではないでしょうか?

 今迄から言っているように、日本では何でも”臭い物には蓋”なのです。危険だからこそ”自国の中で完結しましょう”、これが筋だと思うのですが。

 

 日本でも代理母の必要な方はおられます。私自身も、お2人のロキタンスキーの患者様を代理母のために米国にご紹介し、お2人共に無事に出産されています。最近であれば5000万円近い費用が掛かります。これは外人価格なのです。米国内で米国人であれば半分の費用で終わります。

 

 ロキタンスキー症候群の方には代理出産の必要な方も多くおられます。もし、妊娠出産は出来ないと言われておられる方がおられたら一度受診ください。もちろん、代理出産を海外で受けられれば多額の費用が掛かります。ただ、妊娠するための卵子獲得が可能かどうか、チェックすることは出来ますので、一度外来を受診ください。

 

 これだけ体外受精件数の多い日本です。代理母が必要な方は一定数おられます。体外受精大国の日本、本気で全方位生殖医療、そしてリプロダクティブライツに基づいた生殖医療が可能な国になって欲しいと思います。