不妊治療クリニック院長の福田愛作のブログ

不妊治療クリニック院長の福田愛作のブログ

大阪府東大阪市にあるIVF大阪クリニックは不妊治療専門クリニックです。「心と身体を癒す医療」をテーマとしています。

 そもそもステップアップとは何でしょうか?

不妊治療は一般治療として、一番簡単なタイミング法、そして人工授精から体外受精へと進みます。

 これが一般的に言うステップアップですが、当院ではこれ以前に検査からのステップアップがあります。

卵管造影(HSG)後の一般治療までに行う治療です。卵管造影検査で卵管の狭窄(卵管が狭くなっている)や閉塞(詰まっている)が認められる場合には、一般治療前に卵管の通過性を正常に戻す必要があります。

 

 当院では一般治療前に卵管の通過性に異常(上記の狭窄や閉塞)が認められた場合には、まず卵管の通過性を卵管鏡下卵管形成術(FTと略されます)により治療しもとにに戻します。

 この治療方針は厚労省の不妊治療のガイドラインにも明記されています。もちろん、保険適用で実施できます。

 

 この治療法の利点は、FTを実施しなければ直ぐに体外受精に進むところを、FTを実施すれば約25%の方が一般治療で妊娠することができます。卵管造影後の最初のステップアップはFTを受けるかどうかになります。

 FTは以前は腹腔鏡手術のときに腹腔鏡で卵管を観察しながら行われていましたが、2000年に私が日本で初めて外来でのFTのみの日帰り手術として開始しました。その後、日本全国にひろまり今では200か所以上の施設で外来手術として行われており、不妊症の一般治療前の卵管通過障害の標準的治療(実施可能施設では)として定着しています。

 卵管造影で卵管の通過性に異常があれば、まずFT(保険適用)を受けていただければと思います。

 

タイミング治療ですが、多くの患者様は受診前に自分たちでタイミング法を行われています。特殊な排卵障害などが無ければ、タイミング法をあまり長く続ける必要はないと思います。もちろん今までセックスレスであった方であれば、排卵日にうまくタイミングを少なくとも3~4回ぐらいは持てた方がいいと思います。

 

人工授精ですが、これももともと精子の状態の良い方では、それほどの効果は認められません。すでに良好精子が卵管を通っているはずですから。精液状態の良好な方では、そもそも精子に問題があるわけではないので、性生活に問題が無ければ人工授精による高い効果は期待できません。

 しかし、精液所見の悪い方では、良好精子を選別して濃縮することで妊娠の可能性を高められると思います。

精子が良くても、排卵日にうまく性生活を持てるチャンスの少ない方にとっては、排卵とのタイミングを合わせる効果は期待できます。

 そもそも、人工授精の妊娠率は10%以下ですから、人工授精をあまり長く続けることはお勧めできません。人工授精を実施するときの精液所見も見て、必要があれば早めに体外受精に切り替える方が良いと思われます。

 

体外受精に切り替えるタイミングは、精液所見、不妊期間、女性年齢などいくつかあります。

 体外受精が保険適用になってからは、30代では6回の胚移植まで保険となりますが、40代になれば3回に減ってしまいます。また、43歳以上となれば保険適用から外れます。

 ここもステップアップへのおおきなきっかけとなります。30代終わりであれば、経済面を考えても早めに体外受精にステップアップされることをお薦めします。

 

 ですから、ステップアップには医学的側面と保険に関する側面の二つが絡んでくると思います。

医あ学的側面については、治療を行う医師が適切にアドバイスすべきだと考えています。

 流れ作業のように同じ治療をダラダラ続けるのは時間を無駄遣いしてしまいます。