NHKEテレで「命と向き合った日々」と題する新出生前診断(NIPT)についてのドキュメンタリー番組が放送されました。これは、自然妊娠された方が、胎児エコー検査で胎児の先天異常を疑われ、NIPT検査を受けたところダウン症(21番染色体のトリソミー)の可能性を指摘されます。そして、様々な葛藤を経てダウン症の赤ちゃんを出産するまでを描いたストーリーです。
妊娠は自然妊娠であれ、体外受精であれ、出産が終わり、元気な赤ちゃんが生まれてくるまで結果は分かりません。
妊娠するということ自体、何が起こるか分からないということを考えなければなりません。妊娠すれば100%の確率で元気な赤ちゃんが生まれてくるわけではありません。
妊娠を試みようとされている患者さんも、その危険性を通り抜けてこの世に生を受けた方なのですから。
そう言う私も、ラッキーにもこの世に生まれてきた人間です。
ですから、何か起こらなければ危険性のあることに気付かないのです。
体外受精の場合は着床前診断(PGT-A)を用いれば染色体異常(異数性)は回避できます。と言っても、隠れた遺伝病を回避することは出来ません。
と言うように、パーフェクトな赤ちゃんを産むことは保証されないのです。
いつも書いていますように、結果は神さま(特定の宗教は指していません、天の神様です)しか分からないのです。
でも、科学技術で可能なのであれば、個人の自由で検査は受けられるべきだと、私は考えています。
と言っても、自然妊娠ではそれは出来ません。そこで、NIPTにより出産の可能性のある染色体異数性(13番、18番、21番)を検査することになります。統計的には殆どが陰性に出ますが、数パーセントの方が陽性となります。
陽性の場合、どのようにするかがご夫婦の決断(産むか、産まないか)となります。
どちらが、間違っているか、正しいか、の問題ではありません。どちらに決めるかの決断だけだと思います。
決断すれば、決めたことが正しい決断になると私は考えています。
これが難しい問題で。このストーリーが今回の番組です。