こんにちは。Kinoshitaです。

 

子宮の奇形を指摘され、

手術もできず不安の方もおられると思います。

 

 

今回は

重複子宮をお持ちの方で

不妊治療後に出産された方の流れをまとめます。

 

33歳 AMH5.18 妊娠歴なし

#重複子宮

持病)1型糖尿病 インスリン管理中

 

近医で重複子宮指摘。

タイミング、人工授精実施し妊娠歴なし

体外受精希望で当院受診となる。

 

保険診療が始める前(自費治療)

採卵1

アンタゴニスト

注射:HMG

採卵19個

前核期 2個凍結

胚盤胞 6個凍結(BBが多い)

 

子宮内膜は

右子宮

左子宮

ともに7mm以上を確保できる状況である

 

移植1

D5-4BB

子宮内膜は

右子宮 10mm以上

左子宮 9.1mm以上

ともに7mm以上を確保できる状況である

右子宮を選択し移植

移植後1週間HCG:31

判定:陽性

→8週流産

→絨毛染色体検査:正常核型(染色体異常なし)

 

移植2

D6-4BB

子宮内膜は

右子宮 10mm以上

左子宮 8.0mm以上

ともに7mm以上を確保できる状況である

→前回妊娠まで確認できており、右子宮を選択し移植

移植後1週間HCG:6.7

判定:陰性

 

持病の糖尿病インスリン管理中であるため

双胎はなるべく避けたい

移植は1個ずつ戻していくことで話し合い

 

移植3

D5-3BB

子宮内膜は

右子宮 10mm以上

左子宮 10mm以上

ともに7mm以上を確保できる状況である

→本人右希望あり、右子宮を選択し移植

移植後1週間HCG:0

判定:陰性

 

移植4

前核期融解し胚盤胞へD5-4AA確保

子宮内膜は

右子宮 10mm以上

左子宮 8.0mm以上

ともに7mm以上を確保できる状況である

→内膜が確保しやすい、右子宮を選択し移植

移植後1週間HCG:4.3

判定:陰性

 

A胚移植目指し再度採卵へ

(自費治療選択されているご夫婦)

 

採卵2

アンタゴニスト

注射:HMG

採卵10個

前核期 2個凍結

胚盤胞 6個凍結

 

内膜炎検査:両側で異常所見なし

 

移植5

前核期融解し胚盤胞へD5-5AA移植

子宮内膜は

右子宮 10mm以上

左子宮 8.0mm以上

ともに7mm以上を確保できる状況である

→前回AA胚で右で陰性。左移植歴なし

→左子宮の移植提案し左子宮へ

移植後1週間HCG:2.0

判定:陰性

 

移植6

D6-5BB移植

子宮内膜は

右子宮 10mm以上

左子宮 8.3mm

 

→実際は内膜をさらに拡大して確認していきます。

 

ともに7mm以上を確保できる状況である

→前回AA胚を左に移植したが、HCG0。

→右子宮では妊娠経験あり

→当院の凍結融解胚移植の成績では、内膜7.0mm以上での妊娠成績に有意な差はない。

→しかし、移植経過として常に右の内膜発育が良い状況。

→超音波での内膜状況は両側問題ないが、右優先で治療を進めていくこととなる。

右子宮を選択し移植

移植後1週間HCG:77.8

判定:陽性

 

その後、妊娠初期の経過問題なく卒業

 

出産(経膣分娩)

38週

3096g

めでたく出産となりました!

 

Kinoshitaより)

中隔子宮のように手術で対応できる子宮奇形もあれば

今回の女性のように、そのままの子宮で治療を進めていく場合があります。

 

このような場合、私たちは

移植周期ごとに左右にある子宮の内膜状況を確認し

必ずご本人と移植する子宮について話し合って決めています。

 

移植のカテーテルが入りづらい方(患者さんにとっては痛い方)が

内膜の状況が良かったりする周期があります。

移植でのテクニックも必要になるケースもあります。

 

自分の体について理解をしながら、

子宮の状況に合わせて移植を続けていくことで、

子宮奇形がある場合でも

最終的に出産までいけるケースをたくさん経験してきました。

 

やはり、自分の体を知り、医師と一緒に方針を決定していくことは

本当に大切なことだと思います。