こんにちはKinoshitaです。
久しぶりにPCOSの話に移ります。
こういったPCOSの治療結果 でよく相談されます
トリガー(採卵2日前)アゴニストについてです。
→1度目の採卵で低刺激で開始のはずが、思ったより卵胞が発育した。
→首席卵胞は数個(16mm以上)、小卵胞の数(10mm程度)はかなり多い。
→首席卵胞は少ないが、E2だけは異常に高い状況
→OHSS回避のために急遽トリガーをアゴニストへ変更
→採卵個数2個か3個
→もしくは卵子は取れたが成熟卵がかなり少ない
→あんなに小さい卵胞たくさんあったのにな〜・・・
→受精が1-2個
→胚盤胞ならず
採卵後の外来
→採卵で数個しか取れず。
→あなたにはアゴニストが効きません!と言われた
HCGが使えるようにさらに弱い刺激(低刺激)で再度採卵周期開始
→なかなか発育せず、リセット
→もしくは、刺激の後半、注射の量が増えて結局前回と同じ状況となりHCGを使ってOHSS
Kinoshitaより)
PCOSでこのパターン本当によく相談されます。
本当にこの方は下垂体機能不全があってアゴニストトリガーが効かないんでしょうか。
→私は違うのかなと思います。
このアゴニスト誘発(採卵2日前)で当院が大切にしているポイントは
・刺激日数
・採卵決定日のE2(卵胞1個あたり)
・卵胞サイズ(卵巣全体での18-20mm以上の卵胞の数・割合)
・月経時のLH値
・前周期の黄体抑制が強すぎないか
・採卵決定までのLHの変化
・月経不順か無月経か
・刺激がFSHかHMGか
・余分な排卵抑制かけていないか
・患者が決められた時間に必ず1回1回丁寧にアゴニスト使えているか
など多くの確認事項をチェックしていきます。
このようなポイントをおさえて
時間設定をし、
当院でアゴニストトリガーで誘発すると
他院でアゴニスト誘発が効かない!と言われた方でも
多くの成熟卵子が回収でき、
複数個の良好胚盤胞が確保できることが多々あります。
→重度のPCOSなのに初めてこんなに数が取れました
→初回の刺激でアゴニスト効かないと言われてずっと低刺激でした。私にもアゴニスト効くんですね。
→初めて良好胚盤胞できました
→いつも未熟卵子で取れて、午後に成熟したと言われていました。初めて朝から成熟してました。
と言っていただけることもあり
開業して7年目、今では超遠方からわざわざPCOSの皆さんに来ていただけているのかなと思っています。
私が思うPCOSの卵巣刺激の理想形とは
卵巣刺激を開始する日に、その方にあったトリガーの予定がたてられていること!
卵胞の発育に振り回されて、トリガーの種類や量の決定が後手後手に回らないこと!
これができると
刺激開始日からアゴニストトリガーの効果を最大限に活かせる誘発(採卵2日前)ができます。
番外編 応用)
下垂体機能不全と卵子の数が超多嚢胞となっている最難度の方もおられます。
いつ採血してもLH、FSHがずっと0で無月経の方
(自費体外受精の方だとLH-RH検査で全く反応なし0⇨0、AMHは20とか30とか)
そのような方々には事前にトリガーでなぜHCGが必要なのか
HCGによるOHSSのリスクを事前に理解しどこまで勝負(低刺激〜中刺激)しにいくか相談する場合があります。
また、こういった方には
採卵周期に入る前にあえて低刺激で排卵周期をしっかり作り、
月経時のLHをあげた状態、
月経時に2-5mm台の卵胞をいくつか確保した状態
で採卵周期開始するという方法も当院ではあります
PCOS,LH0、無月経という方で採卵個数が確保できない、胚盤胞が確保できないとお困りの方はご相談くださいね。