まとめシリーズ第2弾。

前回の続きです。

不妊検査まとめ検査4から検査6です。

 

検査4)

甲状腺検査:f-T4/TSH/抗TPO抗体

 

甲状腺機能異常のある人が流産しやすい

ことは昔からよく知られています。

 

甲状腺ホルモンが出すぎる甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

甲状腺ホルモンが出なさすぎる甲状腺機能低下症(橋本病)

どちらも流産と関わる可能性があります。

 

故に当院でも甲状腺ホルモンを計測しているわけですが、

甲状腺機能の内容を簡単にまとめて欲しいというご意見を頂きましたので書いておきますね!!

 

甲状腺の専門医師であればすでにご理解頂けるのですが、

内科的な基準と妊娠を希望されている方の基準はだいぶ変わってきています。

 

難しく言うと

#潜在性甲状腺機能低下症

の場合でも甲状腺内服を開始しておいた方がいいケースもあります。

 

当院では

free-T4

TSH

抗TPO抗体

を総合的に判断し治療開始を決定しています。

 

抗TPO抗体

聞いたことない人も多いかもしれませんが、甲状腺機能を評価する重要な項目と考えています。不妊治療前のこの検査で異常値だった方に甲状腺癌を見つけたこともあります。とっておいて本当に良かったと思う瞬間でした。

 

甲状腺疾患は、バセドウ病も橋本病も自己免疫疾患です。

ものすごく簡単に言うと自分で自分を攻撃してしまう病気です。

そして、自分を攻撃してしまう物質を自己抗体と言います。

 

自己免疫疾患の人は一つだけではなく、たくさんの自己抗体を持つ可能性が多いとされています。

 

甲状腺に対する自己抗体があれば甲状腺疾患となるし、

不妊に関連する抗リン脂質抗体など妊娠の邪魔をする自己抗体であれば流産を繰り返すわけです。

 

甲状腺疾患がもし見つかったとしても、流産の原因を甲状腺だけだと考えず、抗リン脂質抗体がないかなど総合的にチェックする必要があります。

 

甲状腺の病気は特に女性に多いんです。

今まで測ったことがない方は妊娠する前に是非チェックしておくことをお勧めします!!

 

検査5)

プロラクチン

 

治療前検査について記載したので、続きで有名どころを紹介していきます。

それがこのプロラクチンというホルモンです。

 

聞いたことがある人も多いかと思います。

プロラクチンは昔、医療界で大ブームとなったとても古くから知られるホルモンです。

 

このホルモン本当に色々な作用を持ってます。

母乳を出してみたり、排卵・月経を止めてしまうなどなどあります。

分娩後、授乳中すぐに次の妊娠をすると困るので、そうさせないようにしているのでしょう。

 

このプロラクチンが

妊娠していないのに、高くなってしまうのが、高プロラクチン血症です。

 

確かに、月経不順・排卵障害のある方には大切な検査となります。

 

しかし・・・・

高プロラクチン血症が

流産と直接関わっていると考えている人が多すぎる様に思います。

(昔はなんでもかんでも原因をこのプロラクチンにしていた時代があるので、その名残があるのでしょう。)

 

現在、流産との関係の証明はまだなされていないのが実際です。

 

プロラクチンというのは

妊娠と深くリンクし、妊娠すると分泌量が10倍に跳ね上がります。

 

最近では、プロラクチンはむしろ

妊娠維持に必要なホルモンであるという報告も出てきています。

 

よって当院では正常値から高いからといって月経不順・排卵障害がない場合は、

値を下げすぎない様にプロラクチンを無理に下げる様な事はしません。

 

流産や不育症となった原因を

高プロラクチン血症のみで判断するのは適切ではありません。

 

不妊治療という、毎年進歩する先進医療を受けられる方には、

時代にあった正しい知識を掴んで頂きたいなと思います(´∀`)!!

 

検査6)

LH-RH検査

 

Gn-RH検査と書かれている場合とLH-RH検査と書かれている場合がありますね。

同じことです。

 

これを理解するには、いくつか事前に知っておきたい知識があります。

これを知るといっきに不妊症について理解が深まりますよ!

 

通常、女性は自分が意識せずとも勝手に脳が卵巣に指示を出し卵子を育て、排卵させています。

この指示のことを皆さんはホルモンと呼んでいるんです。

 

では、

女性が妊娠するために大切なホルモンを作り出してくれるのは体のどこなのか??

 

3人の主役と3つのホルモンだけ知っておいて下さい。

(図)

 

一人目の主役 脳・視床下部(ししょうかぶ)

二人目の主役 脳・下垂体(かすいたい)

三人目の主役 卵巣

 

この主役達は

”女性ホルモンを作り出し排卵させる”という会社に働いています。

 

視床下部が社長、下垂体が部長、卵巣が平社員という関係です。

 

視床下部(社長)のGn-Rhを受けて下垂体(部長)は動き出します。

さらに下垂体(部長)がLHとFSHを出して卵巣(平社員)が動き始めE2:エストラジオールを作り出していきます。

 

ホルモン① Gn-Rh

脳の一部にある視床下部という場所から出るホルモン(指示)をGn-Rhと言います

 

ホルモン② LHとFSH

脳の一部にある下垂体という場所からはLHとFSHという2種類のホルモン(指示)が出ます

 

ホルモン③ E2:エストラジオール

卵巣から出るホルモンはみなさんご存知の女性ホルモン(E2:エストラジオールです)

 

不妊症で悩まれている方はこの

”女性ホルモンを作り出し排卵させる”会社にトラブルを抱えていないかをチェックする必要があります。

 

GnRH(LH-RH)検査とは

この部長となる下垂体がしっかり働いているかを検査しています。

 

(検査方法)

視床下部(社長)の命令であるGn-RHを血管内に注入し、下垂体(部長)がどれだけ働くかをFSH,LHをみて判断します。

 

当院の場合

1回目の採血→Gn-Rh100μg注入→30分後に2回目の採血をします。

反応がなければ・・・下垂体障害型

反応しすぎ・・・多嚢胞性卵巣症候群型

となります。

 

1日に2回の採血・・泣・・

でも、

この検査結果によって、自分にあった薬を選択するべきです。

 

体外受精開始時にも治療選択で必要な情報となるので、当院ではとても大切にしている検査です。

 

医療法人 木下レディースクリニック

不妊治療は選択の連続です。

皆様が想像している以上の選択肢が不妊治療にはあると思います。

広い視野を持って自分達の体に合う治療選択肢を持つことが何よりも大切だと当院は考えています。

 

ホームページ

https://ivf-kinoshita.com

フェイスブック

https://www.facebook.com/ivf.kinoshita

インスタグラム

https://www.instagram.com/kinoshitaladiesclinic