こんにちは。Kinoshitaです。

前回の論文はかなりのボリュームなので分けさせてもらいました。

 

Fertil Steli.2018 Sep ;110(4):560-569

微量栄養素

○葉酸について

・葉酸はDNAの産生に関わっており、配偶子の形成、受精、妊娠などに関わる役割がある。

→葉酸は自然界にあるものや合成されたものにおいても、ヒトの生殖能力に重要な役割を演じているのではと考えられている

 

・出産年齢の女性は神経管欠損を防ぐ為に1日0.4-0.8mgの葉酸を摂取することを勧めている。

1990年代初頭からアメリカの公衆衛生局やCDCは出産年齢の女性は葉酸を摂取することを勧めている。

 

・葉酸の服用者に自然流産が上昇すると報告されたが、後の研究でリスクを上昇させることはないと訂正されている。

→自然流産が上昇すると報告がされたが、研究の有用性を調べたところ方法論的な問題が発覚。

マルチビタミンに加え葉酸を1日0,8mgを服用することが良いのではないかとする調査発表がでた。

改めて、葉酸の服用者において自然流産のリスクを上昇させることはないと調査結果を報告した

 

神経管欠損の予防のために勧告されている投与量以上の葉酸の摂取で流産率の低下が得られることが示唆されている。

NHS-Ⅱstudy における健全な女性を対象とした大規模な前方視的コホート観察研究から得られたデータでは妊娠前あるいは妊娠早期に葉酸を用いた女性においては自然流産のリスクが減少することが示唆されている。

特に、神経管欠損の予防のために勧告されている投与量以上の葉酸の摂取を試みた例においては流産率低下が示唆された。

 

○葉酸と排卵が原因となる不妊について

・葉酸を含むマルチビタミンの使用によって排卵性不妊や散発無排卵症のリスクは低下し、妊娠が成立するまでの期間は短縮すると示唆される。

→葉酸の摂取と不妊との関係については3つの全方視的コホート研究で検討されている。

NHS-Ⅱの研究に参加した女性において葉酸を含むマルチビタミンの使用では非使用者に比べ排卵性不妊の発現のリスクを1/3低下させるという結果が報告されている

→この研究では葉酸が主要な役割を演じているのではないかと報告している

 

○葉酸と不妊治療ARTの結果

・連日0.4mgの葉酸を含むマルチビタミンを摂取した女性では妊娠率が16%上昇したと報告している

しかし、これは小規模な不妊女性を対象とした無作対照試験での結果である。

 

葉酸が関わる酵素であるMTHFR酵素活性を低下させる遺伝子の変異は採卵数の減少をもたらすと報告している

→葉酸が関わる酵素であるMTHFR酵素活性を低下させる遺伝子変異は卵巣の反応性の低下と相関し、採卵数の減少顆粒膜細胞におけるエストラジオール産生低下などとも相関するという調査結果が報告されている。

葉酸を1日0.8mg超を摂取している女性は0.4mg未満の女性と比較し生児出産の確率は上昇するのではないかと報告している

 

・妊娠前および妊娠中の葉酸摂取は流産率を上昇させることはなく、むしろ妊娠の成立を促し維持させると考えられる

刺激周期の期間中の葉酸やビタミンB12レベルの上昇が認められた例においては、生児出産の確率は上昇するという調査報告もされている。

しかし、葉酸と不妊治療ARTの結果を調査したヨーロッパで行われた3件のコホート研究においては有用性は確認されていない

 

・神経管欠損の予防に推奨されているレベルよりも高容量の葉酸摂取と体外受精ART妊孕性に関する研究は行われていない。

 

(Kinoshitaより)

食事もサプリメントも妊娠をサポートするものとして私は決して否定していません。

情報には色々な報告があり年代や地域によって結果が違うこともよくあります。

広い視点を持ち自分達が後悔のない選択をして欲しい。

そんな気持ちがあり、このような内容をあげています。

 

〜不妊治療は選択の連続〜

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