こんにちは!胚培養士のH.Tです。
今年の日本卵子学会にて当院から発表した内容を報告したいと思います。
当院から発表した他の演題はこちらから確認してください。
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日本卵子学会#1 "凍結回数はPGT-A結果に影響を与えない"とWebセミナー報告
日本卵子学会#2「当院のBiopsy技術獲得の評価」
今回紹介するのは「非遠心型精子処理デバイス“ZyMot”と密度勾配遠心法におけるICSI後の受精率ならびに培養成績の比較」というタイトルで発表した内容となります。
通常、体外受精や顕微授精に用いる精子は密度勾配遠心法や遠心機を用いた洗浄法など遠心処理を用いた方法が一般的です。
しかし、これらの方法は手順が煩雑であり、尚且つ精子への物理的なダメージが懸念されます。
そこで本演題では非遠心処理精子処理デバイスである“ZyMot”を用いてシンプル化した手順で精子処理を行い、ICSI後の受精率や胚盤胞までの発生率に影響を及ぼさないか検討しました。
↑ZyMot (zymotfertilityより引用)
その結果、“ZyMot”を用いて処理した精子でも現行法である密度勾配遠心法を用いた精子処理と比べて同等の受精率・発生率であることが明らかになりました。
これは簡略化した手順で良好な精子を回収できることになりますので、業務効率の改善ならびにヒューマンエラーの減少などに繋がる可能性があると考えられます。
今後、妊娠率への影響・異数性への影響・コスト・保険適応化など様々な事を総合的に考え、本格的に臨床導入できるか判断していきたいと思います。
今後も多くの学会に参加し、情報収集するだけでなく、当院で得られた知見を発表していきたいと思います。
次回からは日本受精着床学会への参加報告が続きますので、是非確認してくださいね!