不妊・生殖医学・発生学など我々が関わる分野において、世界には大小様々な学会・研究会などが存在します。その中で、世界の誰しもが知る2つの権威ある学会があります。

 

1つはヨーロッパを拠点とする European Society of Human Reproduction and Embryology、略してESHRE(エシュレ)、
もう1つは、アメリカを拠点とする American Society for Reproductive Medicine 略してASRM(アスラム)です。

 

当院は、これら国際学会にも積極的に参加・発表し、その場で海外の多くの方と情報交換を行い、最先端の知識や技術を知り、取り入れることで患者さんの治療に役立てようとしています。

 


そこで本日は、今月から開催されるASRMについてご報告します!!

 

今年は、『新型コロナウイルス感染症 ( COVID-19 )』によりほぼすべての学会がweb開催となっております。今回のASRMも「2020 ASRM Virtual Scientific Congress & Expo」ということでVirtual(バーチャル)という文言が追加されてweb開催で行われます。

 

Virtual(バーチャル)とは、「仮想」と訳しがちですが、本来の意味としては、事実上の実質上の実際(上)のなどであり、仮に想うということではない場合が多いようです。

 

今回のASRMについては、いつもどおり皆が一斉にその場に介しては実施できませんが、「Virtual」という文言を追加し、webを用いて事実上学会を開催しますよぉ、という意味合になっています。
実施形態は別にして、事実上・実態として学会を開催しますよという事です。

 

仮想だと、開催されるのか?されないのか?、実態はあるのか?ないのか?わかりませんよね(笑)

 

さて、前置きが長くなりすみませんが、今年は当院から6演題が採択され(採択率100%‼‼‼)発表できることになります。これら6演題を1つずつご報告したいと思います。


 


今日、ご報告する内容は、

 


タイトル:
Increasing the number of learning data using Deep Learning is effective for improving the automatic pronucleus number detection system for human embryos

Deep Learningを用いた学習画像数増加はヒト前核数自動検出システムの改善に有効である

 

です。

 
・発表資料の一部


この演題については、「前核自動検出技術、論文掲載!!」でもご報告したAIを応用した前核数自動検出技術の発展となります。

 

1PNや3PNが臨床上得られることは少なく、どうしてもAIが学習する画像が少なくなってしまいます。本検討では、対象期間を増やし、学習画像を増やすことで前核の検出精度が向上するかを検討しました。結果、学習画像を増加させることで検出精度の向上に成功しましたという報告になります。
前核の数をAIが高率に検出してくれると胚培養士の観察のサポートツールとして有効となります。

 


時代の変化に伴い生殖医療も次世代技術を用いて自動化、および高精度・高効率化し、患者さんの治療に貢献していくことになるかと思います。

 


発表演題紹介はまだまだ続きますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 

培養研究部 Hiroya