こんにちは‼

 
ウィーン・シェヴェヒャート国際空港にて


今日は、2019年のESHREについて、第10回として
最後のまとめを情報発信させていただきます!!

私見ですが、今回の学術的なトピックとしては、
欧州ヒト生殖医学会(ESHRE)/オーストリア・ウィーン ⑤でも報告した凍結融解胚移植についてです。当院としても着眼していたように、今回のこの学会も凍結融解胚移植関連の演題が学術奨励賞に輝いています。

学会が選択する学術奨励賞は、客観的に複数名の偉い高名な方々が、「優れている!!」と評価をしてくれているということで、それは患者さんの治療にも有益なものであるという事です。

今回の臨床的な発表で選ばれている演題は、

Sacha Stormlund (Denmark) - Freeze-all versus fresh embryo transfer in ART: A multicentre randomised controlled trial in normo-ovulatory women (O-069)
患者を無作為に2群に分け、全胚凍結を試みた群と新鮮胚移植を試みた群において初回の単一胚盤胞移植後の継続妊娠率には同様な結果が得られた。

David Cornet (Spain) - Is vitrification damaging oocytes? Results from 37.520 fresh and vitrified sibling donor oocytes (P-433)
ガラス化されたドナー卵子を有するIVFは、融解後に同数の卵子が受精に利用可能である場合に、新鮮な卵子と同様のアウトカムをもたらす。

凍結融解胚移植の有用性と、凍結した卵子や胚の安全性を報告したものであり、今後の発展・普及に寄与する内容と感じています。


次に、近年、急速に進化しているAI(人工知能・Deep Learning)についてです。

世間でも騒がれているように、この分野にもその波は確実に来ております。今年は「Intelligent automation in the embryology laboratory」というトピック名で良好な胚盤胞予測をAIで行ったり、AIと胚培養士の評価が高い確率で一致した、AIシステム開発の発表などがあり、来年あたりは別の視点の発表もしくは、もう少し精度が向上した発表などが増えることが予想されると思います。

当院もこの関連研究は進めており、今年の10月にあるアメリカ生殖医学会ASRMで発表予定です。こちらについても、情報がまとまり次第ご報告致します!!


最後にPGT(着床前遺伝子診断)についてです。

PGTは現在日本では認められない技術ですが、近い将来に日本でも開始されると考えられています。海外では既に一般的に行われている技術であり、多くの発表が未だ行われております。

しかし、ここ数年PGTは万能ではないという報告が多くなされています。そのため、Time-Lapseを用いた動態的な胚解析を行うことで、PGTを行わなくても異常な胚を識別できるかなどの演題が見られるようになりました。私たちも日本でPGTが解禁された時の為に積極的に情報収集を行っていく必要があると改めて感じました。


ESHREについての報告はこれで最後となります!!

長々と10回にも分けて報告しましたが、最後まで全て閲覧して頂いた方には感謝申し上げます。今後も、患者さんにとって有益な情報発信は継続していきますので、当ブログを毎日チェックしていただければと思います。


今後ともよろしくお願いいたします!!


培養研究部 Hiroya
胚培養士のH.T


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