最近ブログの更新ができませんでした。申し訳ありません。
6月と7月の週末はほとんど学会、研究会で海外も含めて出かけていました。8月末や秋の学会、講演の準備もあり、抄録にも追われブログを書く時間も元気もなかったのが言い訳ですが原因です。

 

そんな中、飛行機の中で本を読むことができたのですが、素晴らしい本に出会えました。皆さんもぜひ読んでいただきたいと思います。
以前「国家の品格」を読み始めてそのまま動かず全部読みきって以来の感動した本です。内容は少し多いので何回かに分けて出張の移動中に読みました。新書大賞、サントリー学芸賞をダブル受賞した本なのでご存知の方も多いと思います。

 

 

 

講談社現代新書
「生物と無生物のあいだ」福岡伸一著です。
始めから最後まで全然飽きることなく読め、私がかかわってきた研究も関連し、実に面白く読ませていただきました。野口英世の話もワトソン&クリックのDNAの話も、ノックアウトマウスの話も実に面白い。

 

 

 

その中の一部を紹介すると、『よく私たちはしばしば知人と久闊を叙するとき、「お変わりありませんね」などと挨拶を交わすが、半年、あるいは一年ほど会わずにいれば、分子のレベルでは我々はすっかり入れ替わっていて、お変わりありまくりなのである。かつてあなたの一部であった原始や分子はもうすでにあなたの内部には存在しない。肉体というものについて、私たちは自らの感覚として、外界と隔てられた個物としての実体があるように感じている。しかし、分子のレベルではその実感はまったく担保されていない。私たち生命体は、たまたまそこに密度が高まっている分子のゆるい「淀み」でしかない。しかも、それは高速で入れ替わっている。この流れ自体が「生きているということであり、常に分子を外部から与えないと、出ていく分子との収支が合わなくなる。』

 

 

一番の名言は『秩序は守られるために絶え間なく壊されなければならない』というところです。私が毎日意識している受精卵の成長、生命の誕生はまさにこのような世界なのだと実感しました。