今日はいっぱい話そう...
キミが生まれてくるこの世界のことを...

この世界には 終わりはないんだ
変わらぬ想い 数多の時代を
戦ってきたんだ そしてこれからも
戦ってゆくんだ ボクらの歴史を...

詩人は死してもなお歌い
新しい詩で世界を包む
海も大地も空も夕陽の丘も
全てキミの...キミの世界になる

詩人の詩 歌姫の歌
薔薇の紋章 雷の紋章
朱石の首飾り 碧石の首飾り
語り継がれてゆく 終わらない物語
歴史は次の地平線を探し流れてゆく...

クロは全てを裁き...全てを流すのだろうか?
ソラはこの世界を...この世界を包むだろうか?

美しきモノも...醜きモノも...
賢きモノも...愚かしきモノも...
強きモノも...弱きモノも...
変わりゆくモノも...変われざるモノも...

今日はいっぱい話そう...もうすぐ
キミが生まれてくるこの世界のことを...

キミは全てを赦し...全てを愛せるだろうか?
キミはこの世界を...この世界を望むだろうか?

さぁ早くでておいで...恐がらなくていいんだよ
ボクはこの世界を...ボクはキミを愛してるから...

もうすぐ生まれてくるキミと...ボクとの約束...
今度はボクがキミを...絶対ボクがキミを護るから...
滅びゆく世界の果てに 誰を裏切る
煌く宝石を投げ込む愚行 其処は泥沼だ
其の滅びゆく世界の輪から 誰が抜け出す
今更助け合っても無駄さ 其処は底無しだ

ボクらは世界を識っていた...ボクらは歴史を識っていた...
ボクらは未来を識っていた...本当は何も知らなかった...
ボクらは世界を知りたいんだ...ボクらは歴史を知りたいんだ...
ボクらは未来を知りたいんだ...今からそれを見つけるんた...

我らは書に拠って 祝福を約束されし者...
彼らは書に拠って 断罪を約束されし者

書に刻まれし終焉の魔獣 黒き秩序に従い
歴史を駈け堕りる審判の仕組 最後の書頁めがけて...

美しく在ろうが 醜く在ろうも同じ...
賢く在ろうが 愚しく在ろうも同じ...
その闇に屠られてしまえば 存在など虚構も同じ...
数多の記憶 歴史を呑み込んで尚 その魔獣は止まらない...

ソラから舞い降りた白い翼は 消え去ることも恐れずに闇に向かって往く その頃ボクらは...

黒の教団 地下大聖堂...

「お帰り<可愛い我が娘達>よ...と言ってあげたい所だが
どうやら我々の同志に戻るつもりはないようだね...」

「残念ながらもう手遅れだ、書の魔獣は誰にも止められないのだよ...
終焉の洪水がこの旧世界を屠り、全の歴史を呑み込むまで...」

「養父、アナタって人は...!」

「その眼を見ていると、嫌でも思い出す...
<反逆者の父親>、<逃亡者の母親>...やはり血は争えぬということか...」

「<黒の神子>よ、私は悲しい...!
君ならば書の真理が理解できると思っていたのだがねぇ...
まぁ良い...歴史を変えられると思い上がっているのなら...
いつでも掛かって御出でなさい...」

「聴こえないのかい?我々を新世界へと導くあの音が...!」
世界を救いし隻腕の英雄亡き後
邪神が封印されし地に街を築き
自らが結界の役割を果たし
永き平和への礎と成す...

誇り高き右腕に刻まれし雷の紋章
彼の者達の名は 雷神の民
伝承の謎 紋章の秘密
少年が描く軌跡 雷神の系譜

弱い者ほど徒党を組み
身代わりの羊を捜す
愛を知らない幼き日々は
灼けた石の痛み

ひとり唇噤んだまま
膝を抱えて耐えていた
雨も宿ればいづれ過ぎ去る
嵐もまた然り

されど輝やかざる紋章
本当の強さって何だろう?
差し出された少女の小さな手が
とても大きく見えた...

黙したまま何も語らぬ歴史の手の平の上で
出会ってしまった少年と少女の物語
十年の歳月も一閃の雷が如く
過ぎ去ってしまえば刹那
今...黒の歴史が再び動き出そうとしている...

遠い空見上げて この胸を焦がす
浮かぶのは彼女の 愛らしい笑顔だけ
適わぬ想いと 識っていながら...

麗しの君は何故 一族の長の娘
部族一強き者の許へ
嫁ぐこと定めしは 変えられぬ民の掟

嗚呼...雷無きこの腕じゃ 君のこと護れない?
想いなら誰にも負けないと
叫んでもその言葉 虚しくも風に消えた...

期は満ちようとしていた 長の娘も今年で婚礼を定められし齢十六
その誕生の日が差し迫り 一族の猛者達は競って名乗りを上げた
期は満ちようとしていた 邪悪なる波動が街全体を包み込み
空に立ち込めたる暗雲は <三度目の嵐>の訪れを告げようとしていた...

「おぉ...何ということじゃ...!黒き法衣を纏いし者達の影が見える...
予言書の使徒、奴らを封印の深奥へ行かせてはならん、
邪神の封印を解こうとしておるのじゃ...!
いまや雷神様の血も薄れ、我らに扱えるは小さき雷のみ...
あぁ恐ろしいや...!天地を揺るがす強大な力じゃ...来るぞ...あぁ来るぞ.. .!」

地を割る咆哮 天を裂く爪牙 烈火の如く燃えさかる六対の翼
暗黒を宿した瞳に魅いられただけで 勇猛なる戦士が次々と倒れていった...

嗚呼...人間とは神の前では かくも無力なモノなのだろうか...
誰もが深い絶望に呑まれかけていたその瞬間
一際眩い閃光が雷無き青年の体を貫いた...

「覚醒めよ...勇敢なる右腕を持つ者よ...
直系の雷を受け継ぎし者よ...
かつて私は邪神を封印せし折、雷の槍を放ったが故右腕を失った...
今その雷を開放すれば、右腕はおろか全身が吹き飛ぶやも知れぬ...
御主にその覚悟があるか?
...ならば今こそ覚醒めよ<雷神の右腕>よ!」

「ひとりでは耐え切れぬ、雷でもきっと、ふたりなら大丈夫、私は信じる!」

暗雲を貫く雷 あの日出会った少年と少女は
今...二つの紋章重ね合わせて 輝ける未来を紡ぐ...

「...ちゃん...ねえ...お婆ちゃん...お婆ちゃんったらぁ!」
「どうしたの?それからお話どうなったの?」
「おお...そうだったねえ、ごめんよ」
「その後、雷神様が邪神をやっつけたんだよね?ね?」
「さて、どうだったかねえ...昔の話だからもう忘れちゃったねえ...」
「えー、そんなのずるいよぉ」

...そう言って微笑んだ祖母の瞳は とても優しい色をしていた
...その時の事は今でも印象深く覚えている
...私は信じているのだ 雷神の系譜は途絶えていないのだと...

受け継がれるモノ...受け継がれざるモノ...
暗雲を貫く光を翼に受け...その白鴉は羽ばたいて往く...