「根の深い木」のタムが王妃に助けられ、宮殿に来てしばらく経った日の話です。
タムが女官になった経緯を細かく妄想したもので、CP要素はありません。
(シリーズものです)
新世界(1)
(2に続く)

タムが女官になった経緯を細かく妄想したもので、CP要素はありません。
(シリーズものです)
新世界(1)
牢屋破りが起きた夜ー
あの夜を境にタムの生活は一変した。
意識を取り戻したタムの目に飛び込んできたのは、見たこともない美しい模様。
宮殿の一室の天井だった。
タムは柔らかい布団に寝かせられていた。
生きている。
それ以外を考える余裕などタムにはない。
「タム!」
自分を覗き込む顔が王妃であることを確認すると、
昨晩のおぞましい出来事とともに王妃に匿ってもらったことを思い出す。
昨晩のおぞましい出来事とともに王妃に匿ってもらったことを思い出す。
「ああ、よかった、タム」
タムが起き上がろうとすると、王妃の真向かいに座っている男が背中を支えてくれた。
「傷が癒えるまで、ゆっくりとここで養生しなさい」
見知らぬ顔だった。
男は優しく微笑むと、立ち上がり部屋を出て行った。
見知らぬ、ではない。知るはずもない。
自分のような身分の者が簡単に目通りできる相手ではない。
(あれは…王様だ)
入れ違いに女官が膳を運んできた。
「タム、長いこと眠っていたからお腹がすいているだろう。粥は食べれそうか?」
王妃が粥をすくった匙をタムの口元へ寄せてきた。
目覚めてほんの数分の出来事だが、タムにとって、何もかもがおかしな状況だった。
家族を殺され、命からがら逃げてきたが、目覚めれば清潔な衣を着せられ、
この国の王妃から温かい粥を食べさせてもらっている…。
この国の王妃から温かい粥を食べさせてもらっている…。
タムは涙を拭うことも忘れ、頬を濡らしながら粥を口にした。
「タム、もう大丈夫だ。ここにいれば大丈夫だ」
王妃は粥をたいらげても、泣きじゃくるタムを優しく抱きしめた。
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タムが宮殿にきて1ヶ月ほどたった日の午後。
王妃は王であり夫であるイ・ドから庭園へ誘われた。
タムを連れて、ということだったが王妃には少々不安があった。
タムが宮殿に来て数日後のことである。
タムは王へ向かって石を投げたのだ。
いくら子どもであっても、王に石を投げる行為など断じて許されない。
騒然となった周囲の張りつめた空気、護衛の内禁衛将が剣を抜く金属音、
あの時王妃が感じた恐怖はまだ記憶に新しい。
あの時王妃が感じた恐怖はまだ記憶に新しい。
だが、王はタムを許したのだった。
それ以降もタムは王を避け、王もそんなタムを気遣ってか、あえて彼女と接しようとしなかった。
柱の影に隠れて様子を伺っていたことはあったが…。
「王妃、そなたに相談があるのだ」
王の視線の先には庭のすみに座り込み、じっと池に浮かぶ波紋を眺めているタムがいる。
タムをこれ以上匿うことが難しくなったのだろうか。
もし粛正した者の使用人を宮殿内で匿っていることを上王に見つかれば大変なことになる。
(ついにあの子を外へ出せと仰せになるのですか…)
王の協力なしではタムを匿えない。
タムを宮殿の外へと言われれば従うしかない。
王妃は悲しそうに目を伏せた。
しかし、王から出た言葉は周囲の者たちを驚愕させるものだった。
(2に続く)