会社の人に言えずモヤモヤしていたことを友人に話しました。
勤務先の会社の実印と銀行印の枠が両方とも欠けているのです。
会社の印鑑は、社長かわたし以外には殆ど使用しないので
おそらく他の人は気づいていないと思います。
印鑑が欠けていると、お金が入っても流れてしまう(支出が多くなる)といわれ
良くないとされていますが、お金持ちの方はわざわざ印鑑の一部を欠けさせ
複製防止にしている人も多いようです。
以前勤務していた会社は
倒産や赤字とは無縁の会社でしたが
経理というお金の出入りを司る部署の銀行印が欠けていて、とても気になりました。
(複製防止とかではないような気もしますが)欠けていても問題がないようにも思います。
実際問題、
印鑑の欠けは良くない事なのか。
それとも、
気にすることではないのか。
これまでの経緯を含め、友人に話すと
友人 「会社の実印と銀行印、両方欠けているなんてマズイでしょ」
即答です(笑)
友人 「さいちゃんの勤めている会社って創立してから数十年とか数百年経ってないよね。
数年で両方の印鑑が欠けているということは、
その印鑑は、大切に扱われていないってことだよ。」
わたし 「そうかもね。わたしはいつも印鑑を使用して朱肉をふき取るとき、欠けているのが可哀そうになるよ・・」
友人 「わたしの知り合いで印鑑をとても大切にしている人がいるんだけど、
わざわざ朱肉は練ってるからね。
そこまでこだわる人だけあって仕事ができて、どんどん昇進しているよ。」
朱肉を練る、、、
友人の言葉に衝撃を受け、
朱肉と印鑑の歴史について調べてみました。
印鑑(はんこ)の起源は、メソポタミア文明。
紀元前5千年頃から今でいう印鑑は、その当時お守りのように使用され、
名前を捺印する使用目的ではありませんでした。
朱肉やインクはなく、粘土状のものにギュッと押し当てる使い方がされていたそうです。

※画像はお借りしました
朱肉は中国の南北朝時代から使用されたそうで、
庶民が使用するようになったのは隋唐時代に公文書に捺印するようになってからだそうです。
また
日本では、仏教の伝来と共に印鑑が渡来し奈良時代には官印として使用されるようになり、
以降、豊臣・徳川時代は公文書に朱印を使いました。
江戸時代に武士階級のみ赤い朱肉の使用が許され、庶民は黒い朱肉を使っていました。
明治の初めに太政官布告令により署名捺印をもって正式書類とする印鑑条例が発令されて、
その必要性から御朱印師の手により安価な支那朱を使い朱肉が製造されていました。
明治27年頃、国産の朱を作ることに成功。一般官庁に朱肉を配布されるようになりました。
朱肉には三種類あります。
●印泥
古来中国より使われる伝統的なもので、
中国で採れる珠砂(硫化水銀系)に乾燥させたヨモギを合わせ、
顔料で色付けし、油で粘度を整えたものです。
印影の鮮明さ、色の深み、変色やにじみが少ないなどが特徴で、
落款印など石のハンコを捺す際にもよく使われます。
●練り朱肉
印泥が中国製なのに対し、練り朱肉は日本製です。
銀朱と呼ばれる硫化水銀を昇華させたものに
顔料・植物や和紙の繊維を加え、
ひまし油や松脂などで練り固めたものが練り朱肉です。
材料も微妙に違い、印泥よりもすこし固めで、
こちらも時間が経つと顔料と油分が分離してしまいます。
※画像はお借りしました
●スタンプ朱肉
わたし達が普段使用している朱肉です。
銀行や文具店、ホームセンターなどでよく見かけるのがこの簡易朱肉タイプです。
植物性の油脂や合成樹脂、
化学物質に顔料で色を付けて
インク状にしたものをスポンジに染み込ませた物です。
特に手間もいらず、安価で速乾性に優れているのが特徴です。
ですがスタンプ朱肉のインクは、
色あせたり時間の経過により印影が薄くなってしまうことがあります。
さらに水にも弱いです。
なのでその場しのぎな面が強く、長期保存には向きません。
そして朱肉の朱について
朱肉の朱のことを「たん」または「に」とも言い、
天然に産する朱砂をすり潰して作った赤色顔料のこと。
その中でも特に品質の優れた朱砂は「辰砂」と呼ばれ、
現在は辰砂は硫化水銀鉱の鉱物学名にもなっています。
水銀から作られる朱は歳月を経ても変質や変色をしないことから
古来中国では萬古不易の象徴とされ
不老不死の霊薬とも信じられていました。
日本でも古墳時代の棺内部は
朱色で赤く塗られ屍に朱をふりかけた例も多くみられます。
また、後世になると不老不死のような神聖視された「朱」をめぐり
神社仏閣や宮殿を朱塗りとし、神明の徳を表し、魔除けとなり
さらに権威の象徴とされ高貴の色、朱印となりました。
そういえば、、
御朱印は、神社仏閣に参拝した証として頂ける、
墨書きで書かれた文字に印が捺されたものです。
本来はお寺で写経・納経をした際に頂けるものでしたが、
現在は写経をしなくても、
また寺院だけではなく神社へ参拝すれば頂けるようになりました。
お参りした人だけが授与される、
神様や御本尊の分身ともいわれる非常にありがたいものが御朱印です。
~まとめ~
どうして印鑑が欠けているのが良くない事なのか?
古来、印鑑にはお守りの意味があり神聖なものであった。
また
朱肉の朱には不老不死、
魔除けの意味があり神聖なものである。
そして
朱肉の「肉」とは・・
印鑑が使われる前は、血判が用いられていました。
血判とは、自分の指を切り、自分の血を使って拇印を押すことです。
自分の肉体を切って判を捺していたので、「肉」という字をあてるようになった、というわけです。
そう考えると
印鑑は自分自身であり、
朱肉は自分の肉体の血に当たるんですね。
物を大切にする=自分自身を大切にする
ということに繋がっていくのです。
開運のために、印鑑を有名なお店で作ったり、
星の配置や運勢の良い日に作ることも大切だと思いますが
手元に印鑑が届いてから
どのようにお付き合いしていくのか
そのことが一番大切な事なのだと思いました。
そして
このことは印鑑に限らず、
例えば財布も、そう。
毎年買い替えたり、
お財布の色を気にしたり、
寅年・巳年・酉年に購入することで
金運UPと期待し、満足するのではなく
日々、大切に感謝して
使用することが
開運に繋がるのだと思います。
長い投稿となってしまいましたが、
最後までお読みいただきありがとうございました。

人気ブログランキング