今よりおおらかだった時代を思い出して、今の子育てにも何か繋がるといいな、という思いで綴っています。
時々今の子育てのことも。
3年生のクラス開きの日、三木美紀子先生は1冊の絵本を読んでくれた。
広い教室の片隅に子どもたちが三角座りで、先生を取り囲んだ。
『100万回生きたねこ』
私は家にもあった絵本だったから、知ってる!と心で叫んだ。
でも、知らなかった。
三木美紀子先生は言ったのだ。
「絵本でも本でも大切なページがあります。」
そうして、そっとめくったのが、表紙の裏側のページだった。
「なんでもないこのページにもお話が詰まってるの。このページの色や絵が、そうなの。そして、本のおわり、1番最後にも同じページがあるのよ。」と。
『100万回生きたねこ』の表紙の裏のページは真っ白だった。そして、最後も真っ白だった。
後にも先にも、字のないそのページに注目するよう、教えてくれたのは、三木美紀子先生だけだった。
大人になってからも、私は、絵本や単行本のそのはじめのページを、どんなお話かな、とワクワクしながら見たし、本を読み終わっても、最後のページは余韻に浸りながら開いた。
『100万回生きたねこ』
立派で、他人を好きにならないトラ猫が、たくさんの人生を生きるお話。
子どもの頃、あまり好きではなかった。
こんなにねこを大事にしてくれる飼い主ばかりなのに、ねこは全然飼い主を好きじゃないのだ。だから、とらねこはちょっぴり憎らしかった。
でも、トラ猫がであう、白い美しいネコのページにはうっとりした。
大人になって読み返すと、もっと、心にジンと届く。
三木美紀子先生は、その日から2年間、実にたくさんの本を読んでくれ、紹介してくれた。
本と共にあった2年間だった。
