DXというデジタル事業の「本質」は何かという部分を、日本はあまり理解ができていないような気がしている。

DXはデジタルの広い領域を意味するという意見が多いのだが、本当は広い概念というより、マシーン(M)によるダイレクト処理という概念だけだと思っている。


金融においては日本は間接金融が主体であり、先進国の中では異質の構造があるが、デジタル金融においても同様の流れを感じる。

そもそも、デジタル金融とは、間接金融が直接金融にシフトする事ではなく、ダイレクト型の金融になることだと理解している。


しかし、日本では間接金融の一部をチェーンに載せて、それをデジタル金融という定義にしている。


そもそも、ダイレクト金融はチェーン内で完結する構造であるから、日本概念は「?」に見えてしまう。


ブロックチェーンというのは暗号分散技術の一つであるが、そこに分散IDや分散アプリケーションなど、「分散」という基本概念がある。

この「分散」の概念は「集中」の逆であるが、システムにおいて過去はメインフレーム(集中処理型)からサーバ型になって、サーバ型では分散に見えているようだが、実はまだ完全に分散にはなっていないのだ。

サーバという物理構造が分散していて、内部の構造は実は集中処理概念が多い。


このタイプのサーバ型というのは、大雑把に言うとオンプレミス型のものを指すのだが、それが近年ではクラウドという進化になり、オンプレミス概念とは違うものが急成長している。

今回はクラウドの話は割愛するが、この部分が、次世代はもっと進化するということになる。


基本的に、サーバ型というのは「有線ネットワークシステム」であり、サーバにクライアントというものが接続(昔はクライアントサーバとか表現していた)するイメージになる。


よって、サーバ型といっても、オンプレミスデザインになるのであれば、ある意味では集中処理的になっているわけだ。

今のスマホは、クライアント的に使うことが多いのだが、この構造が根底にあるためだ。


さて、それでは次世代システムは何かというと、サーバという概念はあるが、どちらかというとネットワークノード型サーバの概念になる。

もっと極端にいうと、デバイスというものの役割が新しい概念に変わり、コアノードに対して分散通信を行うグループジョブ(西本用語)という単位ができる。


意味がわからないと思うのだが、今までの有線ネットワークシステム型とは違って、次世代の構成は無線ネットワークシステムとなり、クライアントというよりはデバイスとしてネットワーク内でダイレクトなMtoM(マシーンtoマシーン)を構成する概念になる。

これが分散システムの構造であり、DXの根底にある基本概念だと思っている。


この次世代システム構成は2030年以降から急拡大するが、それまでに基礎構造をつくろうというのがWEB3周辺(西本は次世代WEB3までの概念で説明)の話なのだと思っている。

そう考えると、オンチェーン構造にオンプレミスをAPI接続するのは、結果的にオンプレミスと変わらないということになり、それはDXと表現して良いのかというと疑問が残る。


そのようになっているのは、単純にDXの実用化において、DXが求める高度技術が組み込めないという事情がある。

こういう革新的概念を進めるにはベンチャー型アプローチが良いのだが、日本ではベンチャーの立ち上げが弱く、ゆえに既存企業によるDXの理解となるのだろう。


このあたりが、日本が世界のDXが進んでいる方向とズレている部分なのだと思う。

確かに、日本的DXでも良いのだが、法令でDXを整備したとしてもコスト面で実用化ができなくなる構造になっている。


何を言いたいかというと、中国型と米国型のDX構造は、なるほどと思える部分があるのに対して、この日本型というのはオンチェーン+オフチェーンの二重構造が殆どという点である。

これだと、オンチェーン化してもメリットは少ないように思えてしまうのだ。


つまり、オンとオフは、本来は一つで十分に処理できるものを日本は2つも組み込んでいるので、ゆえにコストが2倍で、サービス維持コストが事業収益に見合わない、だから積極的に手を出せないという話になるのだと思っている。

西本的には、DXを真面目に行うなら、全てをオンチェーン型にするべきだと思う。


なお、このオンチェーンは、世間ではブロックチェーン上を意味するが、西本的には暗号分散技術上という定義にしているので、チェーン依存というわけではないし、そうしないと次世代WEB3の実現は厳しいと思うからである。