4月に入ったので、今回は少し踏み込んだ内容にしようと思う。

WEB3.5は昔のブログで少し説明したかもしれないが、それが具体化してきたという話をしよう。

最近、雑誌で「デジタルシェルター(DS)」のことを少し取り上げていただいた 。
※J-CAM社「Iolite 2024年5月号」(2024/03/29発売)「Interview 銀行保証と三井物産の信用力を根拠にあたらしい価値を提供」https://iolite.net/web3/iolite-vol7-new-release/ 


実際のDSに関する事業モデルの説明はまだ機密情報であるため今回は行わないものの、何故そのようなサービスを展開しているかについて少し触れたいと思う。

特にDSの実用化版であるDSS(デジタルシェルター・ストレージ)の対応が相応に大変であるが、こちらは事業向けオンチェーンの自動化処理の概念であり、私はWEB3.5と表現している。


オンチェーンといっても、現代の解釈はブロックチェーン上での稼働を意味しているが、DSSはブロックチェーンの構造と少し違う暗号分散技術(台帳ではなくストレージ)であるものの、スマートコントラクトの制御が関係している意味では、DApps的な概念を考慮した設計である。

WEB3が「モノベースの価値を権利として定義するFT(トークン類)」が主体であるならば、WEB3.5は「ヒトや組織が契約における権利を定義する事業型NFT」が主体になり、当該NFTがFT類とリンクすることで、オープン領域がさらに拡大進化するという哲学的概念をもっている。


DX領域における自動化処理は、WEB3においてDAppsという概念になっているが、DSSでは現状のDApps概念とは少し異なり、事業型NFT(データ構造に制御設定を内蔵)を介在するスマートコントラクト制御の実装をコアとして、これにより従来の紙ベースの契約類がデジタルで表現できることを説明している。

では、なぜ今までこのような概念が実用化できなかったかについては、今までのブログ内での説明のとおりでブロックチェーン機能の限界が存在していた事が大きな理由である。

DSSは、オンチェーン(この場合は、暗号分散技術を指す)にてブロックチェーンの欠点を改善した概念であり、それにより契約類に必要となる第三者対抗要件を説明できるようにした。


そのため、DSSのデータ構造には難易度の高い多項式暗号(量子計算機暗号解析耐性:PQCを持つ暗号)を組み入れているのだが、この構造は実用化において世界初だと思う。

PQCと第三者対抗要件がどのように関係するかは説明に時間がかかるので割愛するが、先のブログにあった4つの課題に対処するには、DSSをつくるしか対処ができないという結論になった。


そういう意味で、PQC特性は本来第三者対抗要件の処理を徹底的に考えた結果、実装された副次的機能であることも事実である。

それくらい、デジタル領域において「第三者対抗要件」は必要であり対処が難しいのだが、逆にそれが実用化できるとDX領域での事業ユースケースは非常に広いという話になる。

DSSというのは、そういうものである。