デジタル時代における新事業では革新的なサービスが求められている。

日本では、この新デジタル領域を万博と合わせて騒いでいるものの、実際に次世代のデジタル領域に対応できている組織体は非常に少ないと思う。

言い方を変えると、きちんと将来像をもって対応しているのか、目先しか見えていないのかという話であり、重要なことは将来性=進化に通じる概念で対応できているのかということである。

この将来性というのは、特定領域ではなく、広領域を見えていないと言えない話であるが、日本は縦割りの狭領域が合わさった社会であり、その法律はアナログ時代のものであるため、デジタル社会には相性が良くない環境になっているように見える。


先進国の中でも、このような革新領域は関心が高く、参入組織も相応に多いのだが、日本については参入している企業が少ないように思う。

よって、国際的な参入比率をみても、日本は完全に蚊帳の外という位に対応できている企業が多いのであるが、裏を返せばイノベーションが産まれにくい環境になっていると言える。

イノベーションというのも、企業組織体か個人レベルかわかれているものの、実は双方において日本は弱いと思う。

企業組織体では、経営層の理解がネックになっているのは、国際的な解析データをみると顕著に出てくる。

海外では、経営層が何をすべきかできるだけ把握して明確に指示できるのだが、日本では担当者に任せることが殆どになる。

日本では少し前まで年功序列であったが、それが今でも概念的に残っている部分が色々とあるみたいで、それは少子化問題とも連動した社会的構造の問題のようにも思える。


また、個人側を見ても、聞こえてくるのはイノベーションを生み出すための若手教育であり、そのヒアリングを受けることがあるが、個人的には当該領域の教育は難しいと考えている。

そもそも、イノベーションは絶対量が少ないことで成り立つものであり、ヒトの特性でみれば、0.1%程度のエラー領域に偶発的に発生しやすいものでもある。


つまり、進化論と似ている部分があるのだが、そういうエラー(正しくは特異性)は偶然的に発生する要因に可能性があり、それを環境的に発生しやすくするのであれば、それは生存に問題が出るような脅威を与えないと駄目なのだと思う。

今の日本は、環境的には恵まれていると思えるため、どちらかというとぬるま湯のリラックスできる環境が絶対的に支配しているわけであり、その状況で変化を望む者がどれくらい存在しているのかという話になる。


もっと簡単に言うと、自分の時間の殆どを、そのあたりの思考に費やさないと駄目なくらい、自分自身を必死な状況に追い込まないと、特殊な概念は出てこないように思う。


あるいは、真逆な環境として、モチベーションが生成できる環境を強制的に作るしかないが、このモチベーションは、ヒトの価値観にも依存するので、そこが上手くリンクできれば良いのだと思う。

海外は、このモチベーション方式で、新領域を進化させていると思うが、この問題は非常に少ない者が富を得る方法であり、0.1%とそれ以外の不満という課題が残ることも事実である。

しかし、イノベーションを進めるというのであれば、このどれかを選択しなければならない。


ゆえに、教育レベルでイノベーションを何とかしようとしても、現実的には実現が難しくて、その部分を理解しないとデジタル時代では負け組になるように思う。


このデジタル時代において、AIや量子コンピュータ、次世代通信、暗号分散技術など、色々なものが言われているが、どれもがデジタル概念をベースとして成り立つものである。

それらが互いに融合することになるのだが、それでもデジタルにおいては、利点は多いものの、まだまだ欠点が多い状況にある。


AIあたりは、日本は完全に負けたというように見えているが、そもそもAIに不向きな環境にされていた。

このAIは知識領域(ビッグデータ)をベースに発展する特性が多く、そもそもビッグデータ領域で日本はGAFAMに負けている状況であり、いくらAIの処理ロジックを改善しても最終的に競争では厳しいと思う。


ただ、量子コンピュータは技術論的なところがあり、日本は工業国として、この領域は何とかしてほしいと思う。

現状の量子コンピュータ処理は得意分野が限定されていることより、主には総当たり的な処理としてバイオ分野は相性が良さそうだが、それ以外では得意技の素因数分解を使ったものとか限定的になる。


イノベーションの概念でいくと、進化したAIが量子計算力とリンクすれば、それなりの何かとんでもないものが出てきそうだが、そういうのはSFで予測されるようなものになりそうだ。

また、業務で量子技術を使う場合でも、結果的にネットワーク概念が必要になるのだが、この量子通信はファイバーケーブルの抵抗などによるエラー発生を制御するのが難題のようで、量子中継機能を実装しても、中国の上海-北京間通信あたりが現状では限界のようである。


さらに問題になるのはストレージ領域である。

そもそも、量子状態を長時間、ストレージ的に維持することが難しいわけであり、そうなると既存技術とリンクさせて応用する部分が出てくる。


このリンクだが、もう少し具体的にいうと、量子制御領域と、デジタル処理領域を並列で維持し稼働させるのだが、その中でデジタル処理領域がビジネスサービスとして請け負うという話になる。

ただ、このデジタル処理領域は単純ではなくて、量子耐性を持つことが要求される。


何故か。

上記でも話したとおり、量子コンピュータを実用化するためのケースは少なくて、実際に最も効果がありそうなのは、暗号解析になると思う。

これは、サイバー攻撃の主体になることを意味しており、既存のデジタル領域を攻撃する概念であり、そのためには量子攻撃耐性を考えないといけない話になる。

量子業務領域で行うサービスは、その攻撃耐性を持たないと、結果的に量子通信などが並列で稼働しても、セキュアのバランスが悪くて、最終的に性能の悪い水準のサービス、つまり量子コンピュータを使っても意味の無いものになってしまうからだ。


何だか面倒な話であり、こういうことに対応するのも大変そうである。

ただ、なぜこういうことが世界で進められているのかというと、それなりの理由がある。


最初に話をした「進化」であるが、結果的にヒトの進化は続いていて、それがデジタルの方向になっても、それはヒトの意思であり進化に該当する。

デジタルの進化は、優位性に対して保持している欠点を消すことにあり、それがチューニングというような作業や対策になる。


このチューニングでは、対応していくとどんどんと複雑化していくが、それは仕方ない。

レースのエンジンでも、初期の2ストロークは最終的にはDOHC4バルブ4ストロークターボなどになっていくわけで、機能も相当に複雑化する。


複雑化すると、それを根底から違うものにしないと、頭打ちで進化が止まる。


今では、それが高出力モーターなのだろう。

このあたりの変化がイノベーションである。


現状のデジタルは、実はDOHC4バルブ4ストロークターボあたりであり、高出力モーターが次世代デジタルの量子コンピュータみたいなところだろうか。

まぁ、その量子コンピュータも、昔の大型コンピュータみたいに、スタンドアロン的な処理から開始されるが、それは今のネットワーク化したデジタルと同様に、どんどんと進化しネットワーク化していくのだと思う。

そういうのが、第四次産業の向かっている方向性でしょう。


このあたりを見ながら、イントレはどの領域を担当するのか、そこをきちんと整理して対応しているつもりです。