前回までは「10年後から顕著化しそうなリスク」を話してきましたが、そもそもDXと言われる類のデジタル化にも同様の深い問題が色々とあります。

政府はデジタル推進をずっと前から言い続けていますが、日本が起爆となるような明確な変化は未だに見えないです。


日本はデジタルですでに国際的敗者であるという話がちらほら出ていますが、それにより10年後にはGDP世界3位すら維持できなくなるほど経済力は落ちると予測されています。

デジタル化というのは、データ自体に価値を持つサイバー空間が主体になるもので、今までとは比較にならないほどデジタル依存度が上がります。

丁度、本日に自衛隊サイバー防衛隊が動き出す報道が出ていましたが、どちらかというと防衛省(日本政府)の情報システムを死守することが目的に思えますので、民間まで確実に対処できるものではないでしょう。

そうなると、特に金融などの重要インフラをどのようにしてサイバーテロから守るかという話になるわけです。


これは、個人情報の漏洩やデジタル資産の流出だけではなく、デジタル環境自体の「破壊」なども対象になるわけです。

自分たちの資産情報はデータ化されているのですが、それが消えるとなると大変なわけです。

復活できないくらい破壊されることが、現実的に起こらないと考えるひとたちはそれで良いと思いますが、私は嫌ですね。

破壊対象となるデジタル環境にはデータやシステムのバックアップも対象ですから、今までのセキュア対策で乗り切れるくらい甘いものではなくなっているわけです。


もう聞き飽きましたが、国内のDX化を推進する政府案について、そもそも技術の国外流出などを含め、なぜ日本はDX化が進まないかについては、個人的な意見ですが税制問題が大きいように思っています。

実際にDXで大きく成功したような実力者は、税制要因などで海外に逃げているということを日本は理解しないと駄目だと思います。

本当にDXを推進したいのであれば、当事者になって魅力的な環境を国内で提供することが、対策として本当に必要になるはずなのです。


その環境が国内で整備されていないのに、民間でもサイバー攻撃に対処できる状況を作れ!というのは簡単ではないわけです。

もっと具体的に言うと、大企業はそれなりに対処できたとしても、中小企業などは対処できない問題が山ほど出てくると言う事です。


良く考えていただきたいのは、これからDX化によりデジタル資産やサービス類が色々と出てきても、使い手などが本当に安心して信用しても良いのかという点で、多くに日本人は解っていないと思うのです。

デジタル資産は色々と社会を便利にしてくれるはずですが、それと共存して新規に発生するリスクが十分に対処できるとは限りません。


まず、デジタル資産の発行体の信用力をどのように把握するかですね。

それがクリアできても、次はデータを絶対にどのような攻撃や事故などから守ることができるのか、つまりデータを完全に保証できるのかという課題がでてきます。


データが改竄できないとしても、データを破壊できない、システムを破壊できない、このあたりが完全に保証されて、デジタル資産などDX化サービスは安心が得られるわけです。

その点で、サイバーテロの課題は深いわけでして、DXを推進する場合は、政府だけではなく民間も含めてテロ対策を行わなければならないことになるわけです。


ブロックチェーンだから絶対に大丈夫だという考えも完全ではなくて、確かに良くできたパブリックチェーンは既存の金融インフラと比較できないくらい優秀な面が多いことも事実です。

しかし、現実的な実用レベルではプライベート型が多くなると考えます。


その新技術でも弱いと考えられるデジタルセキュリティ等に関わる部分を、どのように対策するかという総合的観点が、金融のDXを考えるときに絶対的に重要になるわけです。

この価値観をロストしていると、金融のDXでは大きな痛手を負うことになります。


逆に言うと、これがきちんと対策できているから、安心できる金融DXが実現できるということです。

金融とは極論的には「心理学」であり、心理の安心・安全ということが絶対条件であることを忘れてはいけません。


今回の自衛隊のサイバー対策の意味するところは、特に金融におけるサイバー攻撃対策が弱いことを間接的に気付かせようにも見えるわけです。

そのあたりは、しっかり認識していると自負している次第です。