だが、「最良執行〝義務"」という根本的な意味を考えた時、この概念において大口注文では少し見方が違ってくる。

この概念は、米国などの金融先進国において、「顧客の注文を顧客にとって可能な限り有利な条件で執行する義務を負うもの」となっている。

なるほど、こちらのほうが責任感がはっきりしていて好ましい。


この「最良執行」という言葉は、聞くヒトが変われば、それが「方針」を意味しているのか「義務」なのか、違って認識されるということだ。


実際に、この「義務」をサービスの形にしたもの、それが「アルゴリズム」、「ダークプール」、「SOR」という御三家になる。


これが、「東証に優先発注するという方針的な解釈(事務的なルール?)」とは違う世界のものであることは明白だ。


大口注文の場合、その発注主である機関投資家(バイサイド側としての投資運用業)は、証券会社に対して、「注文を確実かつ最良に執行するため」に、成行や指値に加えて、「VWAP」、「計らい」、「DMA」、「DSA」などの執行方法を同時に指示する。

この部分は海外と同じなのだが・・・、逆に執行指定が同じにも関わらずマーケットの概念が違うということで、注文の処理方法が異なる。

このあたりが、言葉からくる混乱(金融商品取引法と、実際の業務の差)を招くように思う。


最良執行のシステムを作ってくれ、こういわれれば、西本は単純に東証に発注するシステムとは理解しない。


そもそも、昔のように、大口注文をそのまま東証の板に乗せるなんてことは、ナンセンスな時代になっている。

手口を悟られないことが、最良に執行させるということだ。