そもそも、西本は機械が好きというより、金融が好きだったので、その優位性を手に入れることが出来るものは、何でもウエルカムだった。

その新しい技術で、当時でいう情報系のシステムを追求し、構築していくことになる。

何が変わったかというと、情報系と勘定系という2つの処理は、当時は全く別の管理にあったのだが、これが融合してきたわけだ。

情報系に勘定系の一部の機能が入り込んだものになる。

この優位性というのは、絶対的なものがある。

それがフロントシステムとなり、現代のディーリング・トレーディング系システムの元になったわけだ。

情報をリアルタイムで処理し、分析したものが、発注系にリンクしていく。

当時からプログラム売買に関心のあった西本には、これは希望そのものだった。

勘定系というものは、業務がはっきりしているので、設計レベルで仕様をコミットできる。

だから、設計書から綺麗に準備するのが王道なのだが、情報系というのは違う部分がある。

チャートや、テクニカルなど、長年の経験や運用で残ってきた理論的なものは、形になっているので、設計はできる。

だが、それを応用し資産運用に使うには、実運用の中で常に修正していくことが必要になる。

設計というものが、最初にコミットできず、常に修正が発生する方法で、こういう非定型な業務というのは単純ではない。

暗算が多く必要だし、設計を修正しても実際のコードは違う内容だったとか、整合性に問題が出やすいタスクだった。

だから、プロトタイプ運用ができるようなものをつくった。

今ではJAVAなど、良くできた開発ツールがあるが、当時はアセンブルやCといったベタなものが主だった。

それは簡単に修正できるものではない。