「雨宿り」 | 一斗のブログ

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2011年6月15日に小説を出版しました。
出版をするにあたっての様々なエピソードや心の葛藤、病気の事等書きました。今はショートショート(超短編小説)やエッセイ等を載せています。宜しくお願いします。

急に降り出した雨。

傘を持たずに出掛けてきてしまった僕は慌てて

雨宿りできる場所まで走った。

肩に付いた水滴を払いながら横を向くと

ひとりの女性が僕と同じように雨宿りしている様子だった。

その女性が何気にこちらを向いた瞬間、僕は心臓が

止まりそうなくらい驚いた。


そこに恵がいたから。


その場を取りつくろうように僕は声を掛けた。

「やっやあ。元気?」

「うん!そっちは?」

「ごらんの通り、元気だよ」

「そう。良かった」

そう言って微笑んだ恵は昔より綺麗に見えた。

それに比べて今の僕は相変わらずさえない格好のままで、

なんだか情けない。

一生懸命に会話をしようとするが続かない。

うまく顔を合わすことさえできない。聞きたいことは

山ほどある。

だけど、たぶん何も聞かないほうがいい。

このまま、やり過ごしたほうが……。


やがて雨は止み、恵が軽く手を振ってこの場を立ち去る。

胸が苦しくなる。

どれほど僕は幸せだったかいうことをあらためて

噛みしめる。

いつも、ふたりだったあの頃を。



ー以上、短編小説「雨宿り」でした。ご意見、感想等コメントお願いいたしますー


一斗

 



 
 



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