アレクチニブ投与が、日本で一番最初にスタート
するという事で、転院し、日を追うごとに衰弱していく
夫と共に、あと3日、あと2日・・・と待っているのですが・・。
一昨日、国立癌センターの主治医から
「9/1の予定でしたが、9/2へと一日遅れそうです。
でも、ご主人の場合、一刻を争うと思うので、9/2の0 時
(つまり深夜の12時)を廻ったところで、服用開始しようと
考えています」
と告げられました。
「よろしくおねがいします」
と頭を下げ、(いよいよ今夜からか・・・) と思っていたのですが
つい先ほど、先生が病室にいらっしゃいました。
その表情がとても強張っていたので、いやな予感がしたの
ですが、不安が的中してしまいました。
薬の解禁がまた遅れることになった、との事です。
「おそらく今週末か、来週明けか・・・・、こちらとしては
いつでもスタートできるよう、準備は万端なのですが・・・」
つまり、あちら(お上)の都合ということです。
「すみません・・・本当に」
と、主治医が夫と私に頭を下げて謝ってきました。
この先生が、心がすぐに表情に表れてしまうタイプの方で
きっととても心が優しい人なのだろう・・とは思うのですが
このタイミングで 「すみません・・」 と謝られると、そうでなくとも
不安でいっぱいになっている夫が、(つまり、もうダメなのだ・・
助からないのだ・・) と完全に絶望してしまうので、
「わかりました。私たちも待ちますので、とにかく解禁と同時に
スタートしてください。」
と早口で言って、話をこちらから切り上げさせてもらいました。
先生も、「少しでも呼吸が楽になるために、胸に溜まった水を
抜けるかどうか、明日見てみましょう」と仰って、立ち去って
行かれました。
酸素吸入をしても酸素濃度を上げても、とうとう息苦しさが
とれないほどになってきました。
「明日も、午後には仕事を抜けて顔を出すから」 と告げておいても
待ちきれずに、午前中に「早く来て」 と電話がかかってくるように
なりました。
「一人で死ぬのがこわいから」
と、言う夫の顔が、悪夢を見た子供のように怯えきっているので
なんとか不安を取り除いてあげたいです。
本当は、私も怖くて怖くて仕方がないです。
でも、私まで動揺している様子を見せたらおしまいだと思うので
夫の前では絶対に、楽観しているふうに振る舞おうと、心に決めました。
「これまでもずっと、何度も危機を乗り切ってきたよね。この病気の
こともそうだし、仕事も、夫婦関係も、後で振り返ると・・あの苦労も
必要な苦労だったって思えた事がいっぱいあったでしょ?
今度も同じだから、一緒に頑張ろうね。 決して、独りだって思わないで。
私も一緒に闘うし、ここに居ない時だって、一緒に祈っているからね。
きっと効く。きっと間に合うから・・・」
「ありがとう。いつか恩返しできるといいんだけどなぁ・・・・」
と夫が言って、「そろそろ眠いから、もう帰ってもいいよ」 と告げました。
眠いから・・・の台詞は嘘だとは分かっていたけれど、
思いやりなのだと解釈することにし、暫くしてから帰ってきました。
夫が眠れていますように・・・。