学生の頃に歴史で学んだ縄文時代。
教科書ではほんの数ページしか記述しておらず、
その後に続く弥生時代とともに、僅かな期間であったように誤解している人も多い。
実際に縄文時代は紀元前14,000年頃から紀元前400年くらいまで1万年以上も続いた時代。
にもかかわらず、歴史の教科書ではせいぜい2500年くらいの歴史しか書かれておらず、
その4倍もの時間が縄文にはある。
世界最古の文明がメソポタミア文明初期のシュメール文明で紀元前5500年頃から
紀元前2000年頃とされているので、縄文時代は実に8,500年も古い。
縄文時代は狩猟のイメージが強いが、実は日本という立地を活用して
春は山菜、夏は漁業、秋は木の実や果実、冬が狩猟という縄文暦によって営まれていた。
自然に向き合い、自然の恵みを得て、狩猟時代と言われながらも定住が基本で
たて穴式住居が多く発見されている。
このため自然のすべてのものに神が宿ると信じ、アニミズムが広く信仰されていた。
天の恵みによって自分たちが暮らせるありがたみを知ることは
きっと本来の信仰なのであろう。
また、1万年以上続いた時代背景として争いのない平和で平等な時代であったことも
縄文時代を語るうえで重要な史実である。
自然の恵みで暮らしているため貧富の差もなかったのだという。
文化の面でも当時としては芸術的な縄文式土器が作られ、日用品として、
また工芸品としても高い評価を得ている。
弥生時代にシンプルな土器にシフトしているが、
1900年代にヨーロッパでアールデコからアールヌーボーに変遷した流れの先取りかもしれない。
様々な形状の土偶も多く発見されている。
埴輪と土偶はよく混同されがちだが、土偶は縄文時代の祈りの対象であり
埴輪は古墳時代に古墳に副葬される大量生産品なのである。
土偶は腕や足など欠けたものが多く見られるが、実は自分たちの体の悪いところを
意図的に壊して、回復を願った人形(ひとがた)なのだそうだ。
縄文時代は、日本人の原点なのだと思う。
すべてのものに感謝しながら、争いもなく、貧富の差もなく、
集団の中で、互いに子育てはもちろん助け合いの気持ちを持ち暮らしている。
獲物や自然の恵みなどもきちんとした周期で、必要以上のものを持たない。
必要以上の乱獲を防ぐことで持続可能な社会を実現しているまさにSDG'sの原点でもある。
そんな日々を想像することで、人間本来の生き方、
大きなロマンを感じながら、益々縄文時代の文化に心を奪われます。