十数年前、父親が亡くなり、葬儀の準備中、葬儀会社さんからご宗派はと聞かれ、
その時初めて我が家が臨済宗(禅宗)だと知った情けない息子の私。
でもそれがきっかけで、禅宗を深く知りたいという想いに駆られた。
もちろん奥深い思想の全体が簡単に学べるわけもないが、
とりわけ自分が関わっていたデザイン、コピーワークにおいては色々な気づきを得た。
禅の文化では、『只管打坐』といい、余念を交えずただひたすら『座禅』を行うことがつとに有名である。
一方で、枯山水や水墨画などの文化にも深く関わっている。
枯山水も水墨画も、ご承知のようにモノクロームの世界。
シンプルな描写で、この世のすべてを表現している。
ものを見るというのはもちろん目で見るのであるが、禅では心眼でものを見る。
枯山水や水墨画のようにモノクロームであり、かつシンプルな造形は
見る人の心によって、様々な色彩を帯びるのである。まさに心眼で見るということだ。
そうすることで、モノクロームの造形は、無限大の映像を映し出す。
アップルの創業者であるスティーブ・ジョブス氏も禅の影響を受け、
Apple製品を生み出したという。
洗練されたデザインは、無駄を省いた、究極のデザインなのかもしれない。
一流のアーティストというのは、もうこれ以上加えるものがないといった完成形ではなく
もうこれ以上省くものがないというところに行き着いたものが最高の作品なのだそうだ。
この世は目に見える世界だけが全てではない。
そこに自分の想念を加えることで、無限大の世界に広がる。
Simple is Best
